裁判所は、実際のリスクではなく、「仮説的」かつ「潜在的な」リスクに基づいて教会を解散させた。
パトリシア・デュバル
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裁判所は、公共の福祉を害したという人為的に誇張された訴えに加えて、同様の論理に基づいて、このような「不相当献金勧誘行為」が将来再発するおそれが残っているとし、宗教法人の解散が必要であると結論付けた。
潜在的リスクに基づく必要性
決定の残りの部分において裁判所は、十数ページにわたり、リスクに関する一連の認定を示し、次のように結論付けた:「抗告人の信者らが本件銃撃事件後に行った不相当献金勧誘行為等が問題となった民事訴訟等の存在は、証拠上明らかではないが、現在もなお、抗告人の信者らによって不相当献金勧誘行為等が行われるおそれがある。」
したがって裁判所は、「信者による不相当献金勧誘行為を防止するために抗告人の解散を命ずる必要があるか」について検討し、次のように判断した:「そして、本件の銃撃事件後の現在においてもなお、
- 抗告人は、信者らにより不相当献金勧誘行為等が行われてきた根本的な原因が抗告人にあることを認めておらず、
- 実効性のある不相当献金勧誘行為等防止措置を執っておらず、
- 献金収入の予算額を減額する措置を執ってはいるものの、数値目標緩和措置として実効性のある措置といえるのかどうかが明らかではないのみならず、今後、再び、献金収入の予算額を引き上げ、信者らに対し、社会通念上相当な範囲を逸脱しない方法・態様による勧誘では達成できないような数値目標を定めて献金の勧誘を行うよう求めるおそれがあることが認められる。その場合、抗告人の信者らは、抗告人によって定められた数値目標を達成するため、不相当献金勧誘行為を行う可能性が高い。
要するに、裁判所は、不相当献金勧誘行為の根本原因が教会そのものにあること、すなわち、その運営予算および宗教教義に内在していることを教会が認めていない点を批判している。そして、これらの基本的要素を変更する意思がない以上、唯一の解決策は解散であるとするものである。
さらに裁判所は、次のようにも認定した:「しかしながら、上記の説示に鑑みれば、抗告人が、不当寄付勧誘防止法に基づく勧告等や制裁を受けたとしても、信者らによる不相当献金勧誘行為等の根本的な原因が抗告人にあることを認めて、抜本的・恒久的措置として実効性のある不相当献金等勧誘行為等防止措置や数値目標緩和措置を執るとは考え難い。」
したがって裁判所は、「勧告等や制裁の措置は、抗告人の信者らによる不相当献金勧誘行為を防止するための実効性のある手段とはなり得ない」と判示した。
そして高等裁判所は、次のように結論づけた:「抗告人の信者らによる不相当献金勧誘行為を防止するための実効性のある手段は、抗告人の解散命令以外には見当たらない。」
![Ms. Kiaki Kojima, the founder of the “Association of 2nd-Generation Believers [of the Unification Church] to Protect the Human Rights of Believers,” campaigning for religious liberty in Japan.](https://bitterwinter.org/wp-content/uploads/2026/04/179218040.jpeg)
国際人権法―日本国憲法
しかしながら、国際人権基準に照らすと、高等裁判所は、解散という措置が民主的社会において必要であることを何ら示していない。
それどころか、問題とされた事実が相当以前のものであり、かつ指摘されているすべてのリスクが純粋な推測に基づくものであることからすれば、この措置は、目的との関係で必要性も相当性も欠いていることを示している。
前述の「ウラジーミル・ユルロフ他対ロシア連邦」事件において、国連の自由権規約人権委員会は2023年、エホバの証人の地方組織の解散が、信者の宗教を表明する自由のみならず、規約第22条に基づく結社の自由も侵害するものであると認定した。
同委員会は解散に関する判例法の原則を改めて以下のように述べた:「規約第22条第2項によれば、結社の自由に対するいかなる制限も、次の要件を満たさなければならない。すなわち、(a) 法律によって定められていること、(b) 同条第2項に掲げられた目的のいずれかのためにのみ課されるものであること、(c) それらの目的のいずれかを達成するために『民主的社会において必要』であること、である。第22条の文脈における『民主的社会』への言及は、委員会の見解によれば、政府や大多数の国民に必ずしも好意的に受け止められていない考え方を平和的に推進する団体を含め、活動的な団体の存在こそが、あらゆる社会の基礎であることを意味している。」
そして、ロシア連邦の主張する正当化理由を検討した後、委員会は次のように判示した:「しかしながら、締約国は、禁止された出版物の少数の部数を保管・配布することが、いかにして他者の権利や国家の安全を危険にさらしたのかについて具体的に示していない。また、このような極めて重大な措置である団体の解散を正当化するための具体的な主張も何ら提示していない。」
同様に、統一教会の宗教教義が政府や大多数の国民に好意的に受け止められていないとしても、それを理由として裁判所が当該教義を評価し、それに基づいて宗教法人を解散させることは許されない。
また同様に、日本の裁判所および政府は、団体の解散というこのような極めて重大な措置の適用を正当化するための具体的な主張を何ら示していない。
したがって、東京高裁が世界平和統一家庭連合の宗教法人の解散を命じた決定は、民主的社会において必要なものとみなすことはできない。
ゆえに、これは、市民的及び政治的権利に関する国際規約によって保障されている信者の宗教または信念の自由、結社の自由および表現の自由に対する許されない干渉を構成するものである。
さらにこれは、日本国憲法第98条第2項に違反するものである。

Patricia Duval is an attorney and a member of the Paris Bar. She has a Master in Public Law from La Sorbonne University, and specializes in international human rights law. She has defended the rights of minorities of religion or belief in domestic and international fora, and before international institutions such as the European Court of Human Rights, the Council of Europe, the Organization for Security and Co-operation in Europe, the European Union, and the United Nations. She has also published numerous scholarly articles on freedom of religion or belief.


