裁判所が課した信教の自由に対する制限は、自由権規約第18条3項が意味する「法律で定められた」ものとはみとめられない。
パトリシア・デュバル
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2026年3月4日に東京高等裁判所が命じた統一教会の宗教法人の解散は、信者がその宗教を自由に実践する権利に対する重大な干渉となる。
したがって、次に検討すべきことは、この制限が自由権規約第18条第3項が求める「法律により定められた」ものに該当し、憲法第98条2項との関係で合憲と言えるかである。
制限は「法律により定められた」ものといえるか?
東京高等裁判所による解散決定は宗教法人法に基づいてなされたものであり、同法は次のように規定している:「第81条第1項 裁判所は、宗教法人について左の各号の一に該当する事由があると認めるときは、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、その解散を命ずることができる。一 法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。」
したがって、解散に伴う権利制限が法律に明示的に規定されていること自体は認められる。
しかしながら、規約第18条第3項の要件を満たすためには、この制限は実質的に法律によって規定されていなければならない。すなわち、市民がその適用を予見し、自らの行動をそれに応じて調整できるよう、当該法律は明確性および予見可能性の要件を満たす必要がある。
1985年のシラクーザ原則は、市民的及び政治的権利に関する国際規約における権利制限条項を規律する原則を示しており、次のように定めている:「17 人権の行使を制限する法規は、すべての人にとって明確かつアクセス可能でなければならない。」
すなわち、制限は、その適用において十分に明確かつ予測可能な法律に基づかなければならない。
この原則は、刑事法による制限を超えて、宗教の自由という基本的権利を制約するあらゆる措置に適用されるものであり、規約第18条第3項および憲法第98条2項に照らしても同様である。
特に、宗教法人の解散を規律する条項に適用される。
前述の「ウラジーミル・ユルロフ他対ロシア連邦」事件において、自由権規約人権委員会は次のように判断した:「規約第18条第3項の第一の要件、すなわち制限が法律によって定められていることについて、委員会は、過激活動対策に関する連邦法が『過激活動』について曖昧かつ広範な定義を採用しており、暴力や憎悪の要素を要件としていない点に留意する。また、いかなる団体が過激リストに分類されるかについて明確かつ具体的な基準が法律上示されていない点にも留意する。」
さらに委員会は、2015年4月28日にロシアに対して行った勧告(CCPR/C/RUS/CO/7, para. 20.)を引用し、次のように述べている:「委員会は、以前の勧告において、締約国が連邦法の過激派活動取締法における『過激派活動』の曖昧で広範な定義を遅滞なく明確化し、暴力又は憎悪の要素を要件とすること、ならびに連邦過激派リストの分類に関する明確かつ具体的基準を設けることを目的として、同法を遅滞なく改正するよう求めた。また、恣意的運用を防止するためのあらゆる措置を講じ、連邦過激派リストの見直しを行うよう求めた。」
そして委員会は、「以上に照らし、当該法律および国内裁判所によるその解釈が、規約第18条第3項の下において、制限のための有効な法的根拠を提供したとは結論付けられない」と判断した。
これと同様に、日本の宗教法人法第81条第1項も、どのような場合に「公共の福祉を著しく害する」と認められるかについて、明確かつ具体的な基準を定めていない。
自由権規約人権委員会は日本に対して、繰り返し法改正により「公共の福祉」を理由とする宗教の自由の制限を改めるよう勧告してきた(8 December 2008, CCPR/C/JPN/CO/5 §10; 20 August 2014, CCPR/C/JPN/CO/6; and 30 November 2022, CCPR/C/JPN/CO/7 § 37)。
2008年には、以下の様に勧告した:「締約国は『公共の福祉』概念を定義し、同概念を理由とする制限が規約の許容範囲を超えないよう明確化する立法措置を採るべきである。」
さらに2022年の審査後の最新勧告においても、同委員会は次のように求めている:「37. 以前の勧告を念頭に置きつつ、委員会は締約国に対して以下のことに関して必要な全ての措置を採るよう求める。(a) 思想、良心又は宗教の自由及び表現の自由に対する「公共の福祉」を理由とする制限が、規約の許容範囲内に収まるよう、その概念を明確に定義すること。」
しかし、このような緊急の勧告にもかかわらず、日本はこれまで法改正を行わず、規約第18条、ひいては憲法第98条2項との整合性を確保しなかった。
したがって、「公共の福祉を害する」場合に宗教法人の解散を認める第81条第1項は、「法律により定められている」という要件を満たすに足りる明確性を欠くものといえる。
さらに、この問題は、同条に定める別の要件である「法令違反」の解釈が、民事責任に関する裁判例を含むものとされ、その文言の意味が拡張されている点によって一層深刻化している。
この別の要件については、不法行為に関する民事上の判断にまで拡張され、法文の文言を超えて適用されるに至っているため、もはや明確に定義されているとはいえない。
東京高裁は、「民法第709条に基づく不法行為に該当する行為は、宗教法人法第81条第1項第1号にいう『法令に違反する行為』に該当すると解するのが相当である」と判示した。
しかし、民法第709条は、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」として、単に損害賠償責任を定める規定にすぎない。
東京高裁は根拠として最高裁が関連事件で下した2025年3月3日付決定を引用したが、同最高裁決定は以下のように判示した:「しかしながら、民法709条が一定の行為を禁止する旨を定めた規定であるとはいえないものの、同上の不法行為を構成する行為は、不法行為法上違法と評価される行為、すなわち一定の法規範に違反する行為であり、行為者は、同条という法令の規定により損害賠償責任を課せられるのであって、これらの点に鑑みれば、同条の不法行為を構成する行為が法81条1項1号にいう『法令に違反』する行為に当たると解したとしても、同号の文理に反するものではない。」(解散前における文部省の質問権行使の過程で科された過料に対する不服申立て事件。)

したがって、最高裁判所は、民法上の不法行為は「一定の法規範」に違反するものであり、それが「法令違反」を構成すると判示した。
このように、「法令違反」概念が、定義されていない「一定の法規範」の違反を含むと拡張されたことにより、宗教団体の解散を規律する第81条が、規約第18条3項に定める「法律で定められていること」という要件を充たしていないことを示唆している。
解散に関する判例および公的機関の解釈は一貫して、「法令違反」という文言は成文法上の規定違反を指すと解してきたからであるから、この状況はさらに悪化しているといえる。
安倍晋三元首相の暗殺と、それに続くメディアの過熱報道の後、2022年10月になって政府は突如一夜にして解釈を変更し、教会に対する解散手続を開始した。この突然の変更は、メディアや世論の圧力による政治的動機に基づくものであり、教会にとっては全く予見不可能なことであった。
高等裁判所は、予測不可能性に関する主張に対し、民事裁判所の判例法が教会員に対し、どの資金調達行為が違法とみなされるかを判断するための基準を提供していることを踏まえれば、解散に関する法律は十分に明確かつ予測可能であると述べて反論した。
しかし、教会解散の決定の根拠となっている、教会に対する26件の不法行為判決(最終判決)では、教会員による献金の勧誘は「社会的相当性」に反するとして、不法行為または違法と判断された。
これらの不法行為に関する判決自体も、「社会通念」または「社会的相当性」の違反に基づくものであるため、不明確かつ予測不可能であると評価し得る(これらの概念は日本語では同義である)。
確定判決において民事裁判所がこれらの違反を性格付けるために示した基準は、次のとおりであった。すなわち、献金の額が社会的に許容されないと評価され、また因縁に関する信念が恐怖を植え付け社会的に不相当な精神的操作の一形態を構成するとされたのである。しかし、これらの基準は曖昧であり、極めて疑問が多く、必然的に差別的な適用を招くおそれがある(これらの基準については後にさらに詳しく検討する)。
さらに、これらの確定判決は非常に古い事案(30年から40年前にさかのぼる事実)に関するものであり、教会が2009年にコンプライアンス宣言を発出して以降、裁判所は依拠し得る最近の不法行為の事例を認定していない。それにもかかわらず、解散は不可避であると判断するために、この種の不法行為が将来再び発生する「リスク」があると認定した(解散命令の必要性および比例性については後述する)。
したがって、宗教法人法第81条第1項の意味および適用は、教会の構成員にとって完全に不明確かつ予測不可能であったといえる。
解散命令によって課される宗教の自由に対する制約は、規約第18条第3項の意味において「法律で定められている」とは認められない。

Patricia Duval is an attorney and a member of the Paris Bar. She has a Master in Public Law from La Sorbonne University, and specializes in international human rights law. She has defended the rights of minorities of religion or belief in domestic and international fora, and before international institutions such as the European Court of Human Rights, the Council of Europe, the Organization for Security and Co-operation in Europe, the European Union, and the United Nations. She has also published numerous scholarly articles on freedom of religion or belief.

