学校現場に導入された新たな手続きは、統一教会信者の家庭で育つ子どもたちを特定・監視することを教育関係者に指導しており、プライバシー侵害への懸念を引き起こしている。
パトリシア・デュバル
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カルト問題に関する心理相談ガイド
統一教会の解散命令請求を行った文科省(宗教行政も所管する)の働きかけを受け、日本臨床心理士会は、スクールカウンセラーや臨床心理士向けの冊子を 作成した。このガイドは、反カルト文献やマインド・コントロール理論に全面的に依拠している。
ガイドには次のような指示が記されている:「3 丁寧に配慮しながら具体的に聴く 子どもたちの生活状況や家庭の様子について尋ねて、細やかな情報を把握することが必要となりますが、その際、できるだけ、場面を具体的に話してもらうことが大切です。例えば、日曜日に連れていかれる場所はどんなところか、親に何と言われているのか、などです。これによって、背景に宗教的な問題が関連しているかどうかを判断しやすくなります。そのうえで、対象となる子どもが確認された場合には、管理職の教員に連携してカウンセリングを実施する。」
このような指示自体が、宗教または信条の自由の侵害に当たる。なぜなら、その自由には、自らの宗教的所属を明らかにするよう強制されない権利も含まれているからである。国連自由権規約人権委員会で次のように明確に述べられている:「第18条第2項及び第17条に従い、 いかなる者も自己の思想又はいかなる宗教もしくは信念を有しているかを明らかにすることを強制されない」(一般的意見第22号)。
自由権規約第17条は、「何人も、その私生活、家族、住居若しくは通信に対して恣意的に若しくは不法に干渉されない」と定めている。また、第18条第2項は、「何人も、自ら選択する宗教又は信念を受け入れ又は有する自由を侵害するおそれのある強制を受けない」と規定している。
子どもたちの宗教的背景に関する情報を収集し、そのうえで当該宗教に関する「カウンセリング」を受けさせるよう学校関係者に求めるこれらの指示は、子どもたちのプライバシー権と信教の自由の双方を侵害するものである。
さらに、このガイドは、特に問題が確認されたり報告されていない場合であっても、子どもたちから家庭の宗教実践に関する情報を引き出し、親に対する批判を語らせるよう促している:「ただし、子どもたちは、親について話すことにためらいを感じていることも考えられます。親のことを悪く言いたくない気持ちもあり、話そうとしない場合があるかもしれません。子どもたちが悩んだり辛くなったりした状況について、具体的にひとつずつ尋ねながら、無理をさせず、ゆっくり、聴いてみてください。」
そしてガイドは、「児童生徒が宗教的背景のもと悩んでいると思われた場合、管理職の教員へ報告と相談を行ってください」とも指示している。

そのためには、子どもたちが自らの宗教的背景を学校側に開示することに同意するよう働きかけることが求められている:「注意すべき点は、情報共有することについて児童生徒の了解を得ること、児童生徒が情報共有しないよう希望した場合は、心配と思う内容を話題にしながら懸念が収まるのを待って、本人 を守るためであることを伝えて丁寧に了解を得るようにします。そのうえで、学校全体で組織的に対応することが重要となります。管理職教員の指導のもと、SC や学級担任、学年主任、養護教諭、スクールソーシャルワーカー(SSW)などと、事実関係など情報を細やかに整理します。」
続いて、このガイドは「相談員が陥りがちな不適切な対応」についても説明している。その最初の例として挙げられているのは、「親や家族とよく話し合うように」といった対応である。その理由について、ガイドは次のように説明している:「子どもたちは、家族と話し合うことが難しいと十分認識しています。親が頑固だから、暴言を言われるから、だけではなく、その背景に信仰心があるゆえに、親の考えが揺るがないと解っているためです。そして、親のこうした姿勢は生活の隅々で見られ、その都度、子どもたちは親の意向と違う意見は認めてもらえないことを経験しています。そのため、『家族と話し合うように』と助言するだけでは、子どもたちが置かれている現実を十分に理解した対応とは言えない。」
ここで子どもたちに伝えられているメッセージは明確である。すなわち、学校で親の宗教的背景について何を言われても、それを親に話してはならないということである。2025年6月ジュネーブの国連で証言した、自身も宗教二世である母、N・Y氏は、テレビ報道を見た後、さらに学校で説明を受けた息子が、それ以来まったく口をきかなくなったと証言した。息子は、自分の両親が犯罪組織に所属していると信じるようになったという。N氏はさらに、子どもたちは学校で受けた説明について親に話さないよう指導されているため、親は学校で何が行われているのか知ることができず、子どもに尋ねても何も答えてもらえない状況だと説明した。
N氏は次のように証言した:「私の人生で最もつらかった瞬間の一つは、14歳の息子とのことです。ある日、息子は歯科医院で、私たちの教会を“犯罪組織”と描くテレビ報道を目にしました。動揺した様子で帰宅した息子は、『僕たちは何か悪いことをしたのか』と尋ねました。私は『そんなことはない』と答え、事情を説明しようとしました。しかし、その後も学校やメディアで憎悪に満ちた情報にさらされ続けた結果、息子は私にこう言いました。『この教会をやめないなら、もう一切連絡取らない。僕たちを愛してると言うけど、どうして子どもをこんな危険な目に遭わせるのか』。息子が抱いた恐怖は本物でした。拒絶されることへの恐れ、友人を失うことへの恐れ、進学や就職の機会を失うことへの恐れです。優しかった息子は今、自分の家族にさえ恐怖を抱き、被害妄想と羞恥心に苦しんでいます。このようなキャンペーンは社会を守るものではありません。平和に暮らす市民を犯罪者のように扱うことで、何万もの人々と家族の人生を壊しています。」
一度、子どもたちと親との間に対立が生じると、学校の対応チームは、一時保護を含む親子の分離措置を検討するようになる。
また、子どもたちには、親のもとを離れて生活するための居場所が提供される。政府による「被害者支援の強化策」には、「虐待に苦しむこども・若者に 対して、安全な居場所(こども若者シェルター)を提供し、修学・就労の相談に応じることや、生活援助物資の提供する」と明記されている。
世界平和統一家庭連合の信仰は、家族を大切にする価値観を基盤としており、多くの信者は、その価値観を尊重しながら、愛情に満ちた家庭を築いている。ところが、日本政府の計画は、そのような信仰に基づく家庭を分断し、その崩壊を招くものとなっている。現在、日本の公立学校で進められている政策は、何千人もの統一教会の宗教二世にスティグマを与え、国際人権基準に反する結果をもたらしている。
結論
このような状況は、日本における良心および信教の自由にとって極めて深刻な問題である。
私たちは国連の人権機関に対し、日本政府が国内のすべての人々の信教の自由、平和的集会の自由、そして表現の自由を保護するという自らの義務を改めて喚起するよう、謹んで要請する。

Patricia Duval is an attorney and a member of the Paris Bar. She has a Master in Public Law from La Sorbonne University, and specializes in international human rights law. She has defended the rights of minorities of religion or belief in domestic and international fora, and before international institutions such as the European Court of Human Rights, the Council of Europe, the Organization for Security and Co-operation in Europe, the European Union, and the United Nations. She has also published numerous scholarly articles on freedom of religion or belief.


