検察は懲役13年を求刑していた。しかし、無実の被告人に下されるべきなのは、検察の面目を保つための「寛大な」判決ではなく、無罪判決である。
マッシモ・イントロヴィニエ
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ソウル中央地方裁判所は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の指導者、韓鶴子総裁(83)をめぐる刑事事件の一つについて、一審判決を言い渡した。韓総裁に対する訴追は、今日の韓国で保守的な信仰を持つ人々が直面している圧力を象徴する事件となっている。これまでの司法手続きは、捜査対象が広がったかと思えば縮小し、その内容も次々と変化してきた。こうした経緯は、韓国で宗教を取り巻く憂慮すべき状況を浮き彫りにしている。
本誌の立場に、疑念や迷い、曖昧さはない。韓総裁は無実であり、無罪とされるべきだった。
8月31日に判決が言い渡された今回の事件は、韓総裁が元大統領夫人にシャネルのバッグとダイヤモンドのネックレスを贈ることを指示したとの疑惑に端を発する。その後、特別検察官は、家庭連合が政治家に提供した資金援助についても、政治献金に関する法律に違反するものであり、韓総裁に責任があるとの主張を追加した。検察はこれらの疑惑を一つのナラティブにまとめ、政治に影響を及ぼそうとした証拠であると主張した。
これとは別に、家庭連合の信者が複数の国会議員に献金したとされる事件があり、現在も審理が続いている。しかし、数カ月にわたる捜査の結果、検察は、韓総裁がこれらの献金を把握していたことを示す証拠はないと判断した。韓総裁はこの事件では起訴されておらず、すでに捜査対象からも外れているが、ほかの家庭連合幹部に対する裁判は続いている。
韓総裁をめぐっては、ほかにも複数の事件が進行している。その一つが、家庭連合の信者を保守系政党「国民の力」に集団入党させたとされる疑惑である。しかし、仮にそれが事実であったとしても、他国であれば、信仰者が政治に参加する権利を行使したことは、通常の政治活動とみなされるだろう。また、教団の資金を横領したとされる事件もある。しかし、新宗教運動では指導者個人の資金と法人の資金が密接に結びついていることを考えれば、これは、いわば自分の懐から金を盗んだと主張するようなものである。家庭連合の壊滅を使命とする特別検察官には幅広い裁量が与えられているため、今後さらに新たな容疑が追加され、別の事件へと発展する可能性もある。
これらのうち、8月31日に一審判決が下されたのは最初の事件のみであり、今後、控訴する可能性もある。この事件の根拠となっているのは、家庭連合から追放された元幹部の証言だけである。しかし、彼の供述はこれまでに何度も変わっており、関係文書や時系列だけでなく、本人の過去の発言とも食い違っている。検察が事件の見立てを変更するたびに、それに合わせるように説明を変えてきたのである。こうした矛盾と自己保身によって、彼の証言の信用性は大きく損なわれている。彼は韓総裁を告発することで自らの責任を免れようとし、検察はその証言を事件の根幹に据えた。
検察は懲役13年を求刑したが、裁判所でさえ、それは不当に重すぎると判断した。判決で問題とされた献金や贈答品の総額は、25万ドルにも満たない。この程度の金額を大がかりな政治工作の証拠として扱うのは、あまりに現実離れしている。韓国の政治家がそれほど安く買収できるというのであればともかく、ソウルの一般的なマンション一戸分ほどの金額で、国内外の重要な政治的判断に影響を与えられるとは考えにくい。この不釣り合いな求刑から見えてくるのは、法律の冷静な適用というより、いわゆる「異端的カルト」の不正を捜査するために任命された特別検察官による政治的報復である。
裁判所が、検察の求刑した懲役13年ではなく、懲役2年を言い渡したことで、この事件にはわずかながら常識的な判断が示された。しかし、それでも十分ではない。改めて強調したい。韓総裁は無実である。家庭連合の元幹部が独断で行った行為について、韓総裁が指示または承認したことはおろか、その事実を知っていたことを示す記録さえ、なに一つ存在しない。無実の被告人に下されるべきなのは、検察の面目を保つための「寛大な」判決ではなく、無罪判決である。
韓総裁に対する訴追は、韓国で保守的な宗教を標的に繰り広げられている、より広範なキャンペーンの一部となっている。セゲロ教会のソン・ヒョンボ牧師や、新天地教会のイ・マンヒ総会長をはじめ、ほかの宗教指導者たちも同様の圧力にさらされ、逮捕されてきた。当局は、選挙や政治献金に関する法律を広く解釈し、その適用範囲を拡大している。こうした解釈が認められれば、信仰者が政治に参加する権利そのものが制限されかねない。したがって、今回の判決や、韓総裁をめぐって係争中のほかの事件がもたらす影響は、一人の被告人の問題にとどまらない。
今回の判決によって処罰されたのは、生涯を宗教活動と人道支援に捧げてきた一人の高齢の女性である。世界中の何百万人もの人々が、彼女を「平和の母」と呼んでいる。同時に、この判決は、韓国が今なお、保守的な宗教共同体を政治的な敵とみなし、検察が信憑性に乏しい証言を根拠に、意に沿わない宗教運動を解体しようとする道を進んでいることを示している。韓国におけるこれらの団体へのキャンペーンは、日本の反カルト団体と中国共産党との憂慮すべき繋がりのもとに進められている。
韓総裁の事件は、こうした傾向を象徴するものとなった。そして、韓総裁が無実であるということが、韓国の信教の自由が直面している危機を、私たちに改めて突きつけている。

Massimo Introvigne (born June 14, 1955 in Rome) is an Italian sociologist of religions. He is the founder and managing director of the Center for Studies on New Religions (CESNUR), an international network of scholars who study new religious movements. Introvigne is the author of some 70 books and more than 100 articles in the field of sociology of religion. He was the main author of the Enciclopedia delle religioni in Italia (Encyclopedia of Religions in Italy). He is a member of the editorial board for the Interdisciplinary Journal of Research on Religion and of the executive board of University of Pennsylvania Press’ Nova Religio. From January 5 to December 31, 2011, he has served as the “Representative on combating racism, xenophobia and discrimination, with a special focus on discrimination against Christians and members of other religions” of the Organization for Security and Co-operation in Europe (OSCE). From 2012 to 2015 he served as chairperson of the Observatory of Religious Liberty, instituted by the Italian Ministry of Foreign Affairs in order to monitor problems of religious liberty on a worldwide scale.


