韓総裁はいま、わずか数日の医療措置を許可された。しかし韓総裁は条件なしで釈放されるべきである。
マッシモ・イントロヴィニエ
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世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の指導者であり、多くの人々から「平和の母」と敬愛される韓鶴子総裁は、拘束から一時的な猶予を与えられた。しかし、それは自由や、慈悲を意味するものではなかった。いわゆる鉄条網に覆われた「形式的な譲歩」である。
数か月にわたる国際的な抗議、祈祷会、人道的釈放を求める嘆願では、韓総裁の悪化する視力と心臓の状態に言及してきた。それによって韓国の司法当局は韓総裁に数日間の医療措置と、眼科手術の機会を許可した。しかし韓総裁の行動は病院の敷地内に制限され、面会できるのは医療スタッフと弁護士だけである。病院名も伏せられ、息の詰まるような秘密主義がただよっている。
韓国裁判所による命令は、韓国時間で11月7日16時まで有効だが、その内容は慈悲を表したというよりも「監視命令」に近い。命令の内容には、審問のために再び召喚される可能性や、逃亡や「証拠隠滅」への警告が記されている。それは、眼の治療を求める82歳の女性に対して使う言葉ではない。これは「目を閉ざした制度」が放つ言葉である。
韓総裁を政治的動機と、宗教的抑圧に基づく容疑で起訴した、まさにその「制度」である。この問題については、『Bitter Winter』が繰り返し報じてきた。同じ制度が、韓総裁の年齢も健康も無視し、そして平和構築に捧げてきた功績までも無視した。そして今、病の中にあっても、その手を緩めようとしない。
韓総裁は生涯を通じて和解と宗教間対話、そして世界平和のために貢献してきた女性である。信徒たちが韓総裁を「平和の母」と呼ぶのは、形式ではなく、敬意の表れである。それにもかかわらず、彼女は尊敬すべき長老としてではなく、「逃亡の恐れがある人物」として扱われている。
このわずかな医療措置がここまで遅延したという事実が、すべてを物語っている。この実現のために、人権活動家や宗教指導者、そして世界中の憂慮する市民からの絶え間ない圧力が必要だった。それでもなお結果は、真の治療というよりは、ダメージを最小限にしようとする「ジェスチャー」に過ぎなかった。
この数日間、韓総裁が太陽の温もりを感じ、外の空気を吸い、天の臨在を感じられることを祈る。しかし、私たちはこの一時的な猶予を「前進」と錯覚してはならない。韓総裁の身体は真の治療を必要としており、彼女の功績は尊重されるべきである。また、彼女の拘束は、検証されなければならない。
これは、決して民主主義国家が宗教指導者を扱う姿ではない。これが正義の姿であってはならない。
今この時は、韓国、国際社会、そして宗教の自由と人間の尊厳を信じるすべての人々にとっての鏡である。一時的な釈放や、伏せられた病院名で我々を沈黙させることはできない。我々はさらなる正義を求める。我々は韓総裁の自由を求める。

Massimo Introvigne (born June 14, 1955 in Rome) is an Italian sociologist of religions. He is the founder and managing director of the Center for Studies on New Religions (CESNUR), an international network of scholars who study new religious movements. Introvigne is the author of some 70 books and more than 100 articles in the field of sociology of religion. He was the main author of the Enciclopedia delle religioni in Italia (Encyclopedia of Religions in Italy). He is a member of the editorial board for the Interdisciplinary Journal of Research on Religion and of the executive board of University of California Press’ Nova Religio. From January 5 to December 31, 2011, he has served as the “Representative on combating racism, xenophobia and discrimination, with a special focus on discrimination against Christians and members of other religions” of the Organization for Security and Co-operation in Europe (OSCE). From 2012 to 2015 he served as chairperson of the Observatory of Religious Liberty, instituted by the Italian Ministry of Foreign Affairs in order to monitor problems of religious liberty on a worldwide scale.


