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両親が新宗教運動のメンバーである子供たちは、学校で反カルトの「カウンセラー」によって対処される。
パトリシア・デュバル著*
*2024年9月22日に国連の複数の事務所に送られた報告書
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精神操作
統一教会に対する不法行為訴訟はすべて、不当な影響力と精神操作という概念に基づいている。
これらすべての訴訟において、裁判所は統一教会が不当な影響力を持っているとした上で、献金勧誘行為や伝道が「社会的相当性」を欠き不法行為に当たるとする判決を下すため必要なあらゆる要素を見つけ出そうとして事件を審査する。
この精神操作理論には科学的根拠がなく、欧州人権裁判所が2010年6月10日の判決「エホバの証人モスクワ支部対ロシア」(IC-302/02、2010年6月10日)が詳細に判示したとおり、国際的な学者たちは否定している。
この訴訟では、ロシアの裁判所がエホバの証人に解散決定を下したことに対して、同団体のモスクワ支部が欧州裁判所に申立てをした。
裁判所は、心理的圧力と「マインド・コントロール」の技術を受けたために国民の良心の自由の権利が侵害されたというロシア当局の主張の正当性を特に審査した。
裁判所は、当該宗教団体の信者がロシアの裁判所で、自らの宗教を自由かつ自発的に選択し、したがって自らの意志でその教えに従ったと証言したことに注目し、何が「『マインド・コントロール』を構成するかに関して、一般的に受け入れられている科学的な定義はなく、国内の判決ではその用語の定義は示されなかった」と認定した(§128および129)。
したがって、裁判所は「この点に関するロシアの裁判所の判断は、事実による裏付けのない憶測に基づいている」と裁定し、ロシアがエホバの証人の信教の自由に対する侵害を認定した。
民主主義国家におけるこのような進化にもかかわらず、日本はこの誤りであることが証明された理論を復活させ、ロシアがエホバの証人に対して行ったと同じように、この理論を用いて統一教会を解散させようとしている。
日本当局は今や、統一教会の解散を契機に、宗教界から新宗教運動を排除するために、この理論に基づいて法制度全体を構築した。
これには、将来提訴するかも知れない信者(そうするように説得されたときには、ということを暗に意味)を「被害者」概念に含めたという事実も含まれている。彼らはまだ被害者であることを自覚していないだけだとみなしているのだ。
新宗教運動の信者の自由意思を無効にすることは、彼らが新しい信仰を受け入れる選択の自由を否定し、宗教の選択に関しては、彼らを意思無能力であるとみなすことに等しい。
この理論を用いると、国家は「公共の福祉」を守るという名目で、国民に代わって宗教を選択できることになる。
これは、新しい宗教・信念に対する日本国民の信教の自由、思想信条の自由を侵害するものであり、日本が署名し批准した国際条約の下における宗教問題に関する中立義務に明白に違反する。
家族の崩壊
同様の論理と不当な影響力の概念に基づき、寄付に関する新法では、家族は、信者である親族に代わって寄付を取消す権利が認められている。日本弁護士連合会の会長によると、家族は統一教会が家族関係を破壊したと主張して損害賠償を求めて訴訟提起することもできるという。

欧州人権裁判所は、上記の事件において、エホバの証人が家族を破壊していると主張するロシア政府からの同様の主張に直面した。
これに対して裁判所は以下のような判決を下した。「それにもかかわらず、宗教的な事柄への自己献身が信者の独立した自由な決定の所産である限り、そしてその決定について他の家族がどれほど反発していたとしても、その結果生じた不和について、宗教が家族を破綻させたと解釈することはできない。しばしば、真実はその逆である。宗教を信じる家族が自分の宗教を表明し実践することに対して、宗教を信じない親族がこれを認めたり尊重することに消極的であったり、反発することが紛争の原因なのである」(§111)。
これはまさに、家族によって拉致、監禁され、棄教するまで反統一教会の教え込みを強要された何千人もの日本人信者の場合と同じであった。
この活動を何十年も放置した後に、日本は今や、そのような行為を犯した家族に訴訟を起こす機会を提供しようとしている。彼らは、そもそも家族の崩壊は親族が統一教会に入信したことによって引き起こされたのだと主張して、損害賠償を請求するであろう。
そして、これはすべて統一教会の資金でまかなうことが可能である。なぜなら、解散が決定したときには差し押さえられた資産から損害賠償が支払われるのであり、「債権者」、つまり今後数年間に生じるであろうすべての請求者に支払われるからである。
このことは以下の疑問を生じさせる。日本では成人した市民は、家族が反対する場合、新宗教に入信する権利があるのだろうか?
事実は、彼らにはその権利がないことを物語っており、これはまた、国際文書によって保護されている信仰を選択し、それに従って生きる権利に対する露骨な違反となる。
国家主導のディプログラミング
自由権規約第18条第2項は、「何人も、自ら選択する宗教又は信念を受け入れ、又は有する自由を侵害するおそれのある強制を受けない」と規定している。
棄教を強制することは、日本が締結した条約の下では明らかに禁じられている。
違法な拉致及び強制説得というスキャンダルが明るみになり、12年間の監禁から解放された後に衰弱して傷病に陥った後藤徹氏の写真が公開された後、日本政府は現在、拉致という厄介な要素を伴わない新しい形の「ディプログラミング」を計画しようとしているようだ。

しかし、第18条第2項で述べられている「強制」という言葉は、身体的な拘束を指すだけでなく、信仰に反する強制的な「カウンセリング」などの心理的な圧力を指すこともある。
2024年1月19日、日本の主要新聞の一つである「日本経済新聞」は、同日に開催された「『旧統一教会』問題に係る被害者等への支援に関する関係閣僚会議」と題する閣僚会議について報じた。
会議では、令和5年12月に成立した特別措置法(令和5年法律第89号)に基づく支援策がまとめられた。新たな支援策は、同法にすでに盛り込まれている資産の移動監視や損害賠償請求の法的支援に加え、被害者救済に重点を置いたものとなっている。その後、政府は支援策の骨子をホームページで公表した。
この救済措置は統一教会に特化したもので、二世信者や統一教会信者の子供など、「被害者」または被害者であることをまだ認識していない潜在的被害者に提供される特別な「カウンセリング」に関連するものだ。政府は、統一教会の元信者や批判的な背教者が講師となり、政府の相談窓口の対応者に「助言と指導」を提供するという新しいシステムを確立した。
このシステムは、「マインド・コントロール下にある被害者は悩みに気付かない場合も多い。元信者たちが相談員への講習で自身の経験を踏まえ知見を伝える。」という考えに基づいている。
背教者による研修は、「児童相談所や精神保健福祉センターなどの相談員が問題に取り組みやすくなる」ことを目的としている。
この計画は、統一教会の信者とその子供たち、つまり2世信者にカウンセリングを提供し、彼らに操られていることを気づかせ、教会に敵対するよう仕向けるために特別に練られたものだ。
特に、政府は「宗教2世の子どもや若者が相談しやすいよう学校に配置するカウンセラーやソーシャルワーカーを拡充する」予定だ。
政府のウェブサイトに掲載された計画によると、法務省は「『人権教室』の開催校数(小学校から中学校、高校まで)を拡大し、小中学生に『こどもの人権SOSミニレター』を配布する」としている。
もしこの人権教室が統一教会から脱会した背教者により訓練されたカウンセラーによって行われているのであれば、その内容は推測に難くない。SOSミニレターは子供たちに配布され、当局に「SOS」を送ることができる封筒である。

政府は、児童・生徒からの支援要請を募り、彼らが家を出られるよう支援することを計画している。新たな措置では、彼らに「親など信者から離れて一時的に住める場所を確保したうえで生活の再建をしやすくする」としている。
政府は問題を抱えた子どもたちの救済を口実に、学校で「脱会カウンセリング」を実施し、二世信者に信仰を棄てて家族から逃げるよう圧力をかけている。これが、日本が今年1月に計画した新しい形の「ディプログラミング」である。
親の信仰に反対するよう子供たちに教え込むこの制度化された「カウンセリング」は、自由権規約第18条第1項に基づく信仰の自由の権利の侵害であるだけでなく、児童の権利に関する条約(CRC)の第14条第1項「締約国は、思想、良心及び宗教の自由についての児童の権利を尊重する」に対する違反でもある。
それはまた、自由権規約第18条第4項「この規約の締約国は父母及び場合により法定保護者が、自己の信念に従って児童の宗教的及び道徳的教育を確保する自由を有することを尊重することを約束する」に従って、親が自らの信仰に基づき子を教育する権利を完全に侵害するものである。
それはまた、CRC第14条第2項「締約国は、児童が1の権利を行使するに当たり、父母及び場合により法定保護者が児童に対しその発達しつつある能力に適合する方法で指示を与える権利及び義務を尊重する」に対する違反でもある。
政府が統一教会向けに新調した計画には、こども家庭庁が「宗教の信仰等に関係する児童虐待等への対応に関するQ&A」に基づいて児童相談所で支援を提供することも含まれている。
彼らがここで言及しているQ&Aとは、厚生労働省が2022年12月27日に公表した、宗教的信仰に関連する児童虐待に関するガイドラインのことである。
ここで、これらのガイドラインに関するエホバの証人の報告書と、特別報告者が日本政府に送った、この問題に関する懸念を表明する書簡を参照して頂きたい。

結論
「洗脳的伝道」は、日本で統一教会の信仰に基づく活動を差別するために作られた概念である。
社会的相当性という基準は、日本の裁判所が、信仰の伝播や教会の制度維持のための献金の勧誘などの統一教会の活動を、「反社会的」で不法行為にあたると判断するために用いてきたし、現在も用いている。
これが、今度は政府が「公共の福祉」の名の下に教会の解散を請求するために用いられた。
解散が差し迫っている中、2つの特別法を新たに制定することにより、日本当局は教会の活動を妨害し、ディプログラムされた信者からの損害賠償請求を促進することで、教会の資産の略奪を計画しようと試みた。
不当な影響力の理論により、信仰に満足している信者らは宗教活動に関する法的能力を否定され、その家族には、彼らに代わって寄付を取り消す権利と、家庭崩壊を申し立てて損害賠償請求訴訟を起こす権利が与えられる。
日本政府は数十年にわたって統一教会信者に対する違法なディプログラミングを是認してきたが、今や全体主義国家のように、子供たちを再教育し、両親から離反させようとしている。
こうした人権侵害はすべて、日本の統一教会信者と二世信者にとって悲劇をもたらす。
もし日本当局による差別的、抑圧的な措置という憂慮すべき傾向を止めるために何も対策が講じられなければ、この宗教運動は消滅し、信者は他国に移住するか、強制されて信仰を放棄することを受け入れざるを得ない運命にある。

Patricia Duval is an attorney and a member of the Paris Bar. She has a Master in Public Law from La Sorbonne University, and specializes in international human rights law. She has defended the rights of minorities of religion or belief in domestic and international fora, and before international institutions such as the European Court of Human Rights, the Council of Europe, the Organization for Security and Co-operation in Europe, the European Union, and the United Nations. She has also published numerous scholarly articles on freedom of religion or belief.


