メディアは、「被害者」は「霊感商法」によってだまされたのだという反統一教会の弁護士たちの非難を額面通りに受け取った。実際の話は違っていた。
マッシモ・イントロヴィニエ
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フランス革命のテロは、約3万人の司祭、修道女、および一般のカトリック教徒たちの命を奪った。カトリック教会に反対する世論を煽るために、このテロの立案者たちは、彼らが常に効果的であると知っていた論法を用いた。お金である。数えきれないほどのパンフレット、新聞記事、風刺画によって、貪欲な司祭たちが法外な献金を要求して家族を破滅させている姿を見せたのである。
共産主義者のプロパガンダは、その教訓を学んで実行した。モンゴルが共産主義政権下にあったとき、約 6万人の仏教僧侶が殺された。政権はそれを大量のプロパガンダ用ポスターによって準備したのだが、そこには僧侶たちが、過重なお布施を要求することでモンゴルの人々の生き血を吸う吸血鬼として描かれていた。

私たちはいま、安倍晋三の暗殺後、日本の統一教会・家庭連合に対して同様のプロパガンダが作用しているのを目撃している。暗殺者は、彼の母親が統一教会への献金によって破産したと信じていたため、統一教会を憎んでおり、教会の関連団体が主催したあるイベントにビデオを送り、もう一つのイベントにメッセージを送ったことを理由に、安倍を成敗したかったと主張している。
日本には、「全国霊感商法対策弁護士連絡会」として知られる反統一教会グループがある。彼らは、数え切れないほどの日本人が、献金と統一教会によって法外な価格で販売された価値のない工芸品の購入によって破滅させられたと主張している。
「霊感商法」とは、1980年代に日本の反統一教会左翼メディアによって作られたレッテルである。ハッピーワールドという会社が日本に壺や多宝塔のミニチュアを輸入し、販売していた。それらを購入した人々の一部は、統一教会以外の小さな新宗教と関わりがあり、これらの工芸品には良い霊的エネルギーが吹き込まれていると宣言した。当然のことながら、ハッピーワールドはこれに満足し、価格を引き上げた。統一教会は壺や多宝塔を販売しておらず、それらの神秘的な力についての主張とは何の関係もなかった。しかし、ハッピーワールドを運営していたのは統一教会の信者で、収入の一部を統一教会に寄付していた。こうして彼らは、とりわけ1987年に敵対的な弁護士たちの協会が設立された後には、「霊感商法」の非難を受けるようになったのである。
1987年以降は壺や多宝塔の販売は停止したが、他の統一教会のメンバーは絵画、宝石、および日本では署名の代わりに使われる印鑑を販売する事業を行っていた。これらの印鑑は高価な材料を用いて精巧に作られていたが、通常よりも高い価格で販売されていた。それもまた幸運をもたらすと主張されていたからなのだが、これは日本においてはその他の工芸品においてもよく言われることであった。ここでも、これらの商品を販売していたのは統一教会ではなくその信徒たちであり、彼らはその収入の一部を教会に献金していたのである。
2000年には既存の訪問販売法が大きく改正され、その名称が「特定商取引法」に変わった。この法律は、販売契約を締結するために顧客を「威迫困惑」することを禁じるものであった。この法律に基づいて、印鑑を販売した統一教会の信者が拘留され、最終的には執行猶予付きの懲役刑が言い渡された。当時の日本教会の会長は、新しい法律とそれを尊重する義務について信徒たちに指導しなかったことに対する責任を認めた。彼は2009年に辞任し、統一教会は、印鑑などの「開運」商品を販売する事業を行っている信徒たちを指導して、2000年の法律を厳格に遵守するための新しい方針を採用した。

敵対的な弁護士たちは、別問題である統一教会に対する献金に対しても、「霊感商法」というレッテルを用いた。彼らは、教会は献金を担保として、生きている者たちと他界した愛する者たちの永遠の救いを「販売している」と主張したのだ。彼らは、献金が高額である場合にはそられが「詐欺的で脅迫的な」手段によるか、献金する者の「自由意思」を剥奪する「心理的なテクニック」(信憑性を失った疑似科学である洗脳理論に危ういまでに近い概念)を用いて得られたものと推定すべきだという怪しげな原則を、いくつかの法廷を説得して確立することに成功した。
献金を捧げた者たちに対する感謝の印もまた、「霊感商法」で販売された商品と悪意をもって混同された。一部のカトリック組織では、重要な献金を捧げた者が教皇のサイン入りの本や賞状を受け取ることがある。明らかに、彼らは高額を支払ってその賞状や本を「買っている」のではない。本や賞状は、献金に対する教会の感謝の念を思い起こさせるための象徴に過ぎないのである。
弁護士たちは、「カルト」というレッテルを貼られたグループに反対するキャンペーンが繰り返し語ってきた作り話に頼った。彼らは、主流の宗教と共通する点があるものを、独特な習慣であると指摘する。カトリック教会は、死後の魂の多くが天国と地獄の間の一時的な状態である煉獄に行くと信じている。煉獄で過ごす時間は、その人の親戚や友人による祈祷、司祭に敬意を表するミサ、および献金によって短縮することができる。実に、マルチン・ルターがローマ教会から分離した理由の一つは彼がカトリックの贖宥状(免罪符)の教義を嫌ったからであり、それが献金によって自動的に煉獄での期間が短縮されるかのように教えていたからである。仏教の教団にも同様の教えがあり、亡くなった親族のより良い転生や恐ろしい八寒地獄からの脱出を、お布施と結びつけている。

何百ものプロテスタント教会が聖書の十分の一の献金を支持し、信徒に対して収入の10%を献金するよう求めている。十分の一献金は、強制ではなく可能性として提示されているのであるが、それは統一教会でも同じである。統一教会にはまた、30の倍数にあたる金額を4年間にわたって献金するといった固有の習慣があるが、それはユダが銀貨30枚でキリストを裏切ったことに対して、人類が連帯的に責任を負っていることを認めているからである。
原則として、統一教会の献金に関する神学は、カトリックやプロテスタントのそれと驚くほどよく似ている。日本の法廷はそれを認識し始めているが、それはいまは献金を捧げた者たちが、自分は自由意思に基づいて献金したこと、すべての意味あいを理解していること、そして将来統一教会を訴えないことを述べた公証の合意書にサインしているためでもある。2021年に家庭連合は献金に関わる訴訟で一つ敗訴しているが、他の二つは勝訴している。そのうちの一つで東京地裁は、原告が証拠を改ざんしたことを突き止めた。
この問題は、突き詰めれば神学的であり哲学的なものだ。信じる者にとっては、献金は深い霊的経験であるかもしれない。無神論者や、統一教会のような団体は「本物の」宗教ではないと信じている人々にとっては、どんな警告も十分ではなく、献金が自由で合理的な選択の成果として認められることがあってはならないのである。

Massimo Introvigne (born June 14, 1955 in Rome) is an Italian sociologist of religions. He is the founder and managing director of the Center for Studies on New Religions (CESNUR), an international network of scholars who study new religious movements. Introvigne is the author of some 70 books and more than 100 articles in the field of sociology of religion. He was the main author of the Enciclopedia delle religioni in Italia (Encyclopedia of Religions in Italy). He is a member of the editorial board for the Interdisciplinary Journal of Research on Religion and of the executive board of University of California Press’ Nova Religio. From January 5 to December 31, 2011, he has served as the “Representative on combating racism, xenophobia and discrimination, with a special focus on discrimination against Christians and members of other religions” of the Organization for Security and Co-operation in Europe (OSCE). From 2012 to 2015 he served as chairperson of the Observatory of Religious Liberty, instituted by the Italian Ministry of Foreign Affairs in order to monitor problems of religious liberty on a worldwide scale.


