BITTER WINTER

返金による救済:統一教会から独立した補償委員会の内側

by | Nov 27, 2025 | Documents and Translations, Japanese

信仰と財務を融合させた大胆な法的実験として、家庭連合は訴訟を防ぐ目的で、献金に不満を持つ者への返金業務に国内の著名な弁護士を任命した。

マルコ・レスピンティ

Attorney Hiroshi Mizogami (from the Hashimoto Law Office website).
弁護士 溝上宏司(橋本綜合法律事務所のウェブサイトより)

日本で最も劇的な二つの法廷闘争――安倍晋三元首相暗殺事件の裁判と、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対して解散を命じた第一審の決定に対する抗告審――の中心には、一見単純な問題、つまり「献金」がある。現金であれ、市場価格をはるかに上回る価格での美術品の購入であれ、金銭の授受(そして返金)の問題は、悲劇と政治の両面において核心になっている。

家庭連合は、献金は自由意志によるものであり、批判者は宗教的献金の本質を誤解していると主張している。同時に、教会は、惜しみなくささげた献金を後になって後悔したり、家庭の危機に直面したりした者に対して、しばしば返金を行ってきた。最も有名なケースは、安倍元首相暗殺犯の山上徹也の母親のケースである。彼女自身は不満を申し立てたことはなく、今も教会員であり続けているものの、他の家族からの反対を受け、地元の信者たちは彼女の献金の半分を分割払いで返還することを決定した。

こうした背景から、過激な反統一教会弁護士たちは、過去の献金返還をめぐるセンセーショナルな訴訟でキャリアを築いてきた。彼らの動機は単なる利他主義ではない。彼らは献金した人の代理人となって報酬を受け取り、教会の解散というより大きな政治的目標を追求している。もし金銭だけが問題であれば、もっと穏便な解決策があったであろう。

これに対し、家庭連合は戦略を転換した。全国的に著名な弁護士チームに独立した補償委員会の設置を依頼したのである。同委員会の使命は、紛争を迅速かつ公正に解決することだ。これは、不満を持つ献金者にとっては都合が良い一方で、教会に反対する者たちにとってはかなり都合の悪いものだ。

“Bitter Winter”は、同委員会を率いる3名の弁護士、溝上宏司氏、松隈貴史氏、杉山幸太郎氏にインタビューを行い、補償委員会とは何か、どのように機能するのか、そしてなぜ法廷よりも優れた解決策となり得るのかを尋ねた。彼らの回答は以下のとおりである。

弁護士 松隈貴史(橋本綜合法律事務所のウェブサイトより)
弁護士 松隈貴史(橋本綜合法律事務所のウェブサイトより)

補償委員会とは何ですか? 委員は誰ですか?

宗教法人世界平和統一家庭連合(以下「家庭連合」といいます)の元・現信者の皆様及びその関係者の皆様(以下では「信徒らの皆様」とお呼びします)に対し、これまでの家庭連合に関する献金問題に関し、献金の蓋然性を審査し、蓋然性が認められた場合にはその出捐を補償するため、補償委員会を発足させました。
なお、上記補償の要否の判断は違法性の有無・法的責任の有無・法的な免責事由の有無の判断を前提とはしておらず、献金の事実が認められる場合にはその出捐に対して補償するというものです。
また、当委員会は、日本弁護士連合会の定める「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」の要件を充足するものとして立ち上げられてはいません。
当委員会は家庭連合との契約において、「当委員会が家庭連合から独立した立場で補償の要否についての審査判断を行う」ものと規定しており、当委員会が有する独立性は家庭連合との間の契約に基づくものです。当委員会は、これまでに家庭連合と取引関係のない外部弁護士3名によって構成されています。詳しい情報は公式ウェブサイトをご覧ください。

補償委員会の活動と意思決定が家庭連合から独立していることを、どのように保証していますか?

当委員会は家庭連合から要請を受けて設置された委員会ではありますが、令和7年8月からの家庭連合との協議を経て、別に定める補償基準に従い、信徒らの皆様への補償にあたっては家庭連合から独立した立場に立ち、社会的妥当性の見地から補償内容についての判断を行うものであって、家庭連合は補償の対象・内容については当委員会の判断を受け入れる旨を表明しています。
また当委員会と家庭連合との間の契約書にも独立性について明記されております。

弁護士 杉山 幸太郎(橋本綜合法律事務所のウェブサイトより)
弁護士 杉山 幸太郎(橋本綜合法律事務所のウェブサイトより)

家庭連合に献金した金額を回収したい場合、訴訟を起こすのではなく補償委員会に連絡するメリットは何ですか?

-訴訟の場合は、献金による被害があったことを厳格な事実認定のもとに判断することとなり、当然、献金による被害があったことが立証できる証拠の提出を求められます。そのため、献金による被害の立証には一定のハードルがあると考えられます。また、除斥期間及び時効による請求権の消滅など、法律上のハードルもあると考えております。
補償委員会では、訴訟ほどの厳格な被害立証を要求せず、中立・公正・社会的妥当性の見地から判断を行い、返金のご要望が消滅時効や除斥期間を超過する以前のものであったとしてもそれら消滅時効や除斥期間を考慮することなく、客観的証拠が必ずしも十分ではない場合であっても聞き取り調査その他の調査により蓋然性の認められる限り、法律の枠内を超えた補償を原則とした判断を行いますので、その点が補償委員会へ補償申請をするメリットといえます。


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