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統一教会に対する東京高裁の決定 5. 国際法違反

by | Apr 13, 2026 | Japanese, Documents and Translations

「社会的相当性」「公共の福祉」を理由として宗教または信条の自由を制限することは、自由権規約(ICCPR)によって禁じられている。

マッシモイントロヴィニエ

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Read the original article in English.

Posters celebrating the adoption of the ICCPR by the UN General Assembly in 1966. It entered into force ten years later, in 1976.
1966年に国連総会で自由権規約が採択されたことを祝うポスター。
同規約はその10年後の1976年に効力を発生した。

日本は1978年に国連の自由権規約に署名し、1979年にこれを批准している。

統一教会の宗教法人としての解散を支持した東京高裁の決定には、自由権規約に関するいくつかの問題が含まれている。その一部は、公正な裁判を受ける権利や公開審理を受ける権利に関わるものである。自由権規約第14条第1項によれば、公開審理を行わないことを正当化するには、相当な理由が必要とされ る。東京高裁は、公開審理を行わなかったことについて憲法上の根拠を示して正当化しているが、これに対しては学術的専門家の間で異論があり、疑問が残されている。

また、公正な裁判を受ける権利は、文科省が提出した陳述書によって侵害された。この陳述書は、統一教会側の弁護士によって虚偽とされている。これに対し東京高裁は、説得力に欠ける応答を示すのみ。ここでは「被害者」の代理人弁護士が、自身のクライアントは教会から「脅迫されて」献金していたと報告した事例に焦点を当てている。しかし、教会側が提出した音声記録では、被害者とされる人物自身が、この「脅迫」は弁護士による捏造であると述べている。これに対して東京高裁は、当該録音においてその人物が統一教会の「現役信者」と会話していたことから、「当該現役信者らに対し、弁護士に話した内容について事実と異なる内容を述べた可能性を否定できない」とした。しかし、この場合であっても、なぜ弁護士に対して述べたとされる内容のみが真実として採用されるべきなのかについては、何ら説明がなされていない。

自由権規約に違反する最も重大な部分は、宗教または信条の自由を定めた第18条に関するものであり、日本の当局および裁判所がこれに違反していると指摘されている。

国連を代表して自由権規約の監督を担う自由権規約人権委員会は、日本における宗教または信条の自由に対する憲法上および法律上の制限について、繰り返し検討を行ってきた。自由権規約では、宗教または信条の自由を制限し得る具体的な根拠を列挙しており、列挙された内容は単なる例示ではなく、これに限られるものである。「公共の福祉」はその中に含まれていない。

日本国憲法第12条は、宗教または信条の自由を含む人権について、「公共の福祉」のために用いられる限りにおいて保障されると定めている。また、1951年の宗教法人法第81条は、宗教法人が「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした」場合、裁判所がその解散を命じることができると規定している。

この問題について深く研究しているパトリシア・デュバル弁護士が指摘するように、日本政府は、1980年同委員会へ最初に報告した時から、憲法上の「公共の福祉」による権利制限について、次のように説明してきた。公共の福祉の概念は厳格に解釈されており、人権に不合理な制限を加えるものではない、と。

だが同委員会は40年以上にわたり、日本のこの説明を拒否してきた。審査のたびに、「公共の福祉」の概念は曖昧で制限がなく、規約が許容する範囲を超えて自由を制約し得ると警告してきた。さらに同委員会は、思想、良心、宗教および表現の自由に対するいかなる制限も、自由権規約第18条第3項および第19条第3項に定められた厳格な基準を満たさなければならないと、日本に対して繰り返し指摘している。この懸念は、2008年、2014年、そして直近では2022年に公表された最終見解を含め、同委員会の総括所見に一貫して示されている。

パトリシア・デュバル弁護士は次のように結論づけている。日本当局が、自国の法制度が自由権規約の基準と整合していないことを、45年以上にわたり認識してきたと。それにもかかわらず、日本は、国際レベルで約束した義務に国内法を適合させるための改革を行なってこなかった。

2025年に統一教会に対する第一審の決定が下された後、国連は、4名の特別報告者を通じて日本に対し、次のように警告した。「解散決定の根拠となった民事不法行為判決は、『公共の福祉』を著しく害するとされた『社会的相当性』の逸脱を根拠としている。自由権規約人権委員会が既に指摘しているように、『公共の福祉』の概念は曖昧で無制限であり、自由権規約で許容される範囲を超える制限を許容する可能性がある。…第18条の権利行使に対するいかなる制限も、国連自由権規約人権委員会の解釈に基づき、自由権規約第18条3項に定められた制限に厳密に従わなければならない」。

The four UN Special Rapporteurs who signed the 2025 statement criticizing the dissolution: from the left, above, Nazila Ghanea (freedom of religion or belief), and Nicolas Levrat (minority issues), below, Farida Shaheed (right to education), and Gina Romero (rights of children).
2025年の声明に署名し、解散を批判した4名の国連特別報告者。左上から順に、ナジラ・ガネア(宗教または信条の自由)、ニコラス・レブラット(少数者問題)、下段にファリダ・シャヒード(教育を受ける権利)、ジーナ・ロメロ(子どもの権利)。

東京高裁の決定は、統一教会の活動が日本において「社会通念上相当な範囲を逸脱している」として、それゆえに「公共の福祉」を害するものと評価されるべきであると、20回以上にわたり繰り返し述べている。

裁判所は、「社会的相当性」および「公共の福祉」が、自由権規約第18条第3項に定められている信教の自由を制限し得る根拠として列挙されていないという異議を認識している。

これに対する裁判所の答えは、2つの論拠に基づいている。第1に、「社会的相当性」は、「公共の福祉」の範囲外にあるかどうかを判断するための複数の基準の一つにすぎないとするものである。第2に、「公共の福祉」そのものについては、自由権規約第18条第3項の列挙の中に明示的には規定されていないものの、黙示的に含まれていると主張している。

東京高裁は、「民法709条の不法行為を構成し、かつ、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為は、自由権規約18条3項にいう『公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の者の基本的な権利及び自由』を侵害する行為に該当するといえる」と述べている。

しかし、東京高裁は、日本法が国際法に違反しているか否かを判断する適切な機関とはいえない。この問題の評価は、超国家的な機関、すなわち国連の自由権規約人権委員会によって行われるべきものである。同委員会はすでに繰り返し見解を示しており、東京高裁が依拠する解釈は誤りであると日本に指摘してきた。すなわち、「公共の福祉」は自由権規約第18条第3項に定められた信教の自由の制限理由には含まれておらず、同条項に対する不当な付加であり、日本法から排除されるべきものである。

東京高裁の第二の論拠は、宗教法人の解散は信教の自由の制限には当たらず、したがって、自由権規約の適用対象外であるという主張である。この異様な主張の根拠として、東京高裁は、「解散命令は、宗教法人の法人格を失わせる効力を有するにとどまり、信者の宗教上の行為を禁止したり制限したりする法的効果を一切伴わないものである」と説明している。

この説明に関する事実関係については、本連載の次回で取り上げる。ここでは、自由権規約違反の問題と、同規約における「信教の自由」の意味についての東京高裁の明らかな曲解に焦点を当てたい。これは中国のような全体主義国家によってしばしば用いられる主張である(中国は自由権規約に署名しているものの未批准であり、ただし香港およびマカオには適用されている)。全体主義国家は、特定の宗教団体の公的活動を制限しても、信者が私的に信仰を持つ自由は残されているため、宗教または信条の自由の侵害には当たらないと主張する。しかし、これは自由権規約の趣旨とはまったく異なる。第18条第1項は、「単独で又は他の者と共同して及び公に又は私的に、礼拝、儀式、行事及び教導によってその宗教又は信念を表明する自由」を保障している。

ここでいう「他の者と共同して」とは、個人の信教の自由にとどまらず、教会や宗教団体といった法人としての信教の自由を意味する。このような団体的自由を保障するためには、国家は、公的な礼拝や宗教実践、宣教活動が行われるための前提条件が制限されないよう確保しなければならない。日本では、宗教 法人が解散されると、礼拝場所や銀行口座を含むその資産が清算人に移転される。その結果、信者は、第18条第1項が保障する信教の自由を行使するための物的基盤を奪われることになる。この問題については、本連載の次回、最終回でさらに詳しく検討する。


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