安倍晋三氏暗殺後の反カルト運動に関する不都合な真実を無宗教のジャーナリストが暴くまでの道のりを赤裸々に綴った作品。
マルコ・レスピンティ
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2025年、受賞歴のあるジャーナリスト福田ますみ氏が『国家の生贄』(飛鳥新社)を出版した。この本は瞬く間にベストセラーとなり、既に3刷を重ねている。そして、統一教会(現在は家庭連合)をめぐる論争に対する多くの日本人の理解を大きく変えた。「Bitter Winter」は先日、この本の連載レビューを掲載した。今回は、この勇気あるジャーナリストへのインタビューを掲載する。
Bitter Winter: あなたは家庭連合の信者ではなく、調査を始めた当初もこの組織に共感を持っていたわけではありませんでした。日本のほぼすべての有力メディアが主張する立場に対して、異議を唱えようと思ったきっかけはなんですか?
福田ますみ :宗教に関心がなかった私が家庭連合への取材を思い立ったのは、この教団に所属する一人の信者さんと、仕事の上で偶然出会ったことがきっかけです。アメリカのポリティカル・コレクトネスについての本を書いたとき、このテーマに詳しい「世界日報」の編集委員Bさんに取材をしましたが、大変好感が持てる人柄の方でした。そのほぼ1年後に安部元首相が暗殺される事件が起き、家庭連合へのすさまじいバッシングが始まりました。でも私は、メディアが報じる絶対悪のような教団と、私が出会ったBさんのイメージがまったく重ならず、戸惑いました。事件からほぼ1か月後、私は意を決してBさんに連絡を取りました。するとBさんは、「涙が出るほどうれしかった。今は自身の生存権さえ危うい状態。でも自分だけならまだ耐えられる。この累が娘にまで及ぶことを考えると・・・」とその追い詰められた心境を打ち明けてくれました。この言葉に慄然とした私は、いったいなぜこの教団がこれほどのバッシングを受けるのか、真相を探ろうと決意しました。すると、取材を始めてまもなく、この教団をめぐって、メディアがまったく触れようとせず、一般の我々がまったく知ることのなかった事件、出来事が多々あることに気づきました。それは、この教団に対する従来の認識を根底から覆すものでした。この教団は、著しく誤解され、貶められている。これは書くに値すると思いました。
世の中全体が、教団を絶対悪とする空気の中で、できるだけ公平中立な観点から執筆しようとすれば、風当たりはかなり強くなるだろうと思い、躊躇する気持ちもありましたが、一般の人間が誰も知らないことを私は知っている。書きたいという欲求が勝ってしまいました。陳腐な言葉で言えば、“記者魂”かもしれません。
BW: 著書の中で、あなたは日本を「テロリストの願望が叶う国」と呼んでいます。どういう意味ですか?
福田:安部元首相を暗殺したテロリスト・山上徹也の裁判員裁判が、先日結審しました。法廷での山上自身の証言、また、事件に至るまでの山上の行動の検証により、彼は家庭連合による直接の被害者ではなく、母親による宗教虐待といったものも存在しなかったことが明らかになりました。しかし彼が、家庭連合に対して逆恨みに近い理不尽な感情を抱いており、安倍氏への襲撃によって、家庭連合に何らかの打撃を与えたいと願っていたことも、事実です。そのテロリストの願望をかなえるべく、政府、文科省、司法など国家が総ぐるみで動き、とうとう東京地裁は、家庭連合に解散命令を下しました。ちなみに山上の裁判では、「家庭連合に解散命令が出たが」の問いに対して山上は「ありがたい」と答えています。これこそ、非道な犯罪を犯したテロリストの願望を、国が代わって叶えてやったことに他なりません。したがって私は、現在の日本は、「テロリストの願望をかなえた国」であると思っています。
BW: あなたは「全国霊感商法反対弁護士連絡会」について深く調査しましたね。この組織は何ですか? そして、なぜ設立されたのですか?
福田:全国弁連は、表向きは、1987年当時、旧統一教会が行っていたとされる(実際は信徒の会社が行っていた)霊感商法の被害者救済のための弁護士団体ですが、真実は、旧統一教会の関連団体である国際勝共連合が当時推し進めていたスパイ防止法の制定を阻止するために発足しました。全国弁連は、主要メンバーが共産党系、旧社会党系で占められた左派の弁護士たちの集団であり、長くこの全国弁連の事務局長を務めた山口広弁護士は、発足前に、彼が当時所属していた社会党系の社会文化法律センターの機関誌「センターニュース」でこのように述べています。
「いうまでもなく『霊感商法』とは統一協会が組織ぐるみで『経済活動』と称し、壺・多宝塔を霊を引き合いに、数百万円以上で売りつけるというもので、そこで得た金は、統一協会や勝共連合の国家秘密法制定の策動の資金に流れている」
また、いち早く霊感商法に取り組んでいた他の弁護士は、あるシンポジウムではっきり本音を述べています。
「統一協会、勝共連合は潰さなければならない。彼らは日本最大の右翼だ。そのためには資金源を断つべきであり、マスコミに取り上げられる方法を検討すべきだ」
要するに全国弁連は、スパイ防止法の資金源をつぶすとともに、彼らが敵とみなす、右派の新興宗教もまとめて葬り去る一石二鳥の方法を編み出したのです。つまり、壺や多宝塔を霊的価値を付加して販売する商法を、詐欺的な悪徳商法と断罪して社会的批判を巻き起こすことに成功しました。結果、統一教会は反社会的団体でカルトであり、巨悪であるというスティグマが、日本社会の隅々にまで定着してしまいました。

BW: あなたは拉致監禁と強制改宗についても取り上げています。日本におけるこの活動は、国際人権団体や国連から広く非難されました。しかし、日本では依然としてこれを擁護し、正当化する人々がいます。なぜですか?
福田:統一教会の信者はマインドコントロールされている。だから、容易なことでは脱会できない。このマインドコントロールを解くためには、少々手荒な手段を使っても保護説得するしかないというデマがまかり通っていたからです。(実際は、脱会は容易です。教会に行かなければいいだけです。多数の信者が自然脱会しています。)プロの脱会屋やキリスト教の牧師たちにとっては、信者の拉致監禁は巨額の金を得る金儲けの手段となっていました。ビジネスとして成立していたのです。これも、拉致監禁がなかなかなくならなかった理由です。彼らは、「信者は犯罪者になる」「オウム真理教と同様の事件を起こす」「統一教会の施設の床下には、たくさんの死体が埋まっている」などと、信者の親族に虚偽の事実を教え込み、不安をあおった末に、親族自身に、信者の拉致監禁を実行させました。したがって、これは犯罪ではない、親子の問題であり家庭の問題だ。保護説得であるとしてごまかされてきたからでもあります。そして、親族は、プロの脱会屋やキリスト教の牧師たちに多額の謝礼金を支払っていました。
BW: 家庭連合の二世信者の苦しみについてよく耳にします。あなたはこの問題についても調査しましたね。どのような結論に達しましたか?
福田:宗教2世、特に、離教し教団や親に否定的な元2世信者に対する取材はしておりません。なぜなら、一時期、そうした2世信者がテレビや雑誌に毎日のように登場し、親の献金で苦労した、宗教虐待を受けた、教義上、恋愛ができなくて苦しんだと声高に叫ぶ声をこれでもかと聞いたため、私が新たに彼らに取材する必要を感じませんでした。代わりに聞いたのは、メディアが全く取り上げなかった現役2世信者の声です。彼らの話を聞くと、確かに一時期、信仰を巡って葛藤があったこともあったようですが、その後、教義を自ら学びなおして、納得して親の信仰を継承していると話してくれた人が何人もいました。そして、親が高額献金をすることもあったが、それは利他の精神からであり、そんな親を尊敬している、両親は十分愛情をもって自分たちを育ててくれた、宗教虐待などされていないと答える2世たちが大半でした。家庭を大切にすべきという教義を親は実践しているのだから、子供への虐待はむしろ一般家庭よりもずっと少ないのではないかと主張する2世もいます。結論として、統計を取ったわけではないですが、教団に批判的な2世、離教した2世は少数派であり、現在も教団にとどまっている2世の方が圧倒的に多い印象です。もちろん、2世特有の悩み、親への不満については解決策を考えるべきですが、それはあくまで、各々の家庭内のことであり、親の信仰が原因なのかどうかも疑問です。ですから、教団が相談に乗る以上のことをする必要はないと考えます。離教2世たちはいまや、メディアや全国弁連にあおられ、親がささげた献金を返せ、教団は解散すべきだ、我々の被害を教団、いや国も補償しろなどと主張していますが、それは全く見当はずれの主張であると考えます。こうしたトラブルにいちいち国が対応することは、いわゆる大きな政府を作ることになり、それはもはや共産主義社会に他なりません。親が自らの信仰に基づき子供を教育する権利は、日本も批准している国際人権規約の自由権規約第18条第4項に明記されています。もし子供が親から継承された信仰を拒否したいなら、成人となる18歳の時点で決断すればいいことです。
BW: 著書の中で、虚偽の告発や捏造された証言についても触れられていますね。具体的な事例を挙げていただけますか?
福田: 私は、「公安が仕組んだ冤罪」という表現をしているのですが、2009年に起きた新世事件と、2011年に起きたストーカー規制法違反事件がそれに当たります。いずれも、旧統一教会の信者を狙い撃ちにしたとしか思えない事件であり、公安警察が、事件の背後に旧統一教会の組織的関与があるのではないかとにらんで捜査に乗り出した点で、両事件に共通点があります。さらに、全国弁連が裏で公安を動かしていた可能性もあります。まずは、新世事件です。旧統一教会の信者が経営する印鑑販売店「新世」に警察の家宅捜索が入り、顧客名簿を押収しました。警察はこの名簿をもとに前代未聞のローラー作戦を行いました。捜査員は、名簿に記載のあった300名以上の「新世」の顧客に片っ端から連絡し、被害届を出すよう執拗に要請。この被害者発掘工作の結果、ようやく5名が被害届を提出しました。同社の社長と取締役、販売員5名が、特定商取引法違反(威迫・困惑)容疑で逮捕されたのです。彼らは消費者を威迫・困惑させて商品を購入させたとされるのですが、威迫・困惑の定義は、捜査員でさえ「わからない」と述べています。結局、販売員5名は略式起訴を受け入れて罰金刑となったのですが、社長と取締役は公判請求となり、社長は懲役2年、執行猶予4年、取締役は懲役1年6か月、執行猶予4年の有罪判決が下りました。しかし、肝腎の「新世」と旧統一教会との組織的つながりは一切見つからず、旧統一教会本体を摘発するという、公安の本来の狙いは空振りに終わったのです。私は、「新世」の経営者や販売員たちは、不当な冤罪の被害者であると思っています。
2011年2月の早朝、ある男性信徒が突然自宅で逮捕されました。容疑は、ストーカー規制法違反。この男性信徒は2007年に祝福結婚をし、結婚生活を始める直前に新妻のBさんが失踪しました。この時期にカップルのどちらかが失踪するのは、旧統一教会の場合、ほぼ拉致監禁です。男性信徒は警察に捜索願を出したのですが、未入籍であったため受理されませんでした。
以後男性信徒はBさんを探し続けるのですが、杳としてその行方がわからなかったため、一計を案じ、Bさんの父親の車の下にGPS機能付きの携帯電話を取り付けました。これにより、父親の車が、杉並区荻窪周辺のあるマンションに立ち寄ることを突き止めました。このマンションは、プロの脱会屋・宮村峻氏が信者を監禁するために使っていたもので、以後、男性信徒が父親の車を追跡した先で、Bさんとニアミスを繰り返すようになりました。2010年10月、二人は荻窪のサウナ施設で遭遇しますが、Bさんは、男性信徒を見て110番通報をしました。男性信徒は、彼女の人格がまったく変わってしまったことに驚き、その場を立ち去りました。その2か月後に男性信徒は逮捕されます。「自分は何も悪いことはしていない」として略式起訴を蹴り、本裁判を選んだのですが、法廷では、Bさんに対する拉致監禁こそ事件の原因のはずが、拉致監禁という言葉は全くタブーとなり、単なる恋愛充足目的で付きまとっていたと判断されてしまいます。2012年、懲役3か月、執行猶予4年の有罪判決が下りました。男性信徒は最高裁まで争いましたが、結局有罪は覆りませんでした。それから9年後、別の信徒が、教団内に残っていたBさんの私物をBさんの母親のもとに返却しに行くと、母親は驚くべきことを言ったのです。「公安が来て訴えないかと言ったので怖くなって訴えた。謝りたい。」いったいなぜ公安がこの事件にかかわったのでしょうか。男性信徒の代理人弁護士はこう言います。
「この事件の背後に旧統一教会の組織的関与があると疑ったからだと思います。ところが蓋を開けてみると、彼個人の意思によるものでどこにも組織的関与が見当たらない。公安からすると拍子抜けだったでしょう。」
この構図は「新世」事件と全く同じです。
家庭連合に対する解散命令請求の非訟裁判において、教団による被害の証拠であるとして文科省が提出した元信者の陳述書の中に捏造、あるいは改ざんされた内容のものが存在するという疑惑があります。陳述書を書いた「被害者」本人が、これは自分が書いたものではない、内容に偽りがあると訴えたケース、知らないうちに自分が、解散命令請求の証拠の中に入れられたと驚くケース、さらに、他の宗教団体の元信者の陳述書が紛れ込むなど、ずさんな証拠集めの実態がわかります。91歳の元信者の女性のケースはとりわけ悪質です。彼女は陳述書を作成したこともないし、献金の返還も望んでおらず、陳述書は、脱会を強要した息子たちと、文科省が作成したのだろうと娘に話しています。この陳述書は34ページで、それに約250ページもの資料が9~10ポイントの小さな文字で書いてあり、文科省の職員は、これを元信者の女性に読み聞かせもせずに署名捺印を迫ったようです。この疑惑につき、一審において証人尋問が行われた際、文科省は一切反論せず沈黙しました。2025年1月には、当時参議院議員だった浜田聡氏がこの問題について文科省に質問を行いましたが、文科省はこの時も、疑惑を否定しませんでした。2025年9月5日、教団の信者と元信者の計4名が、陳述書作成に携わった文科省の職員6名につき、有印私文書偽造容疑などで、東京地検に告訴・告発状を提出しました。

BW: あなたは、家庭連合に対する解散訴訟は捏造に基づいていると結論付けています。なぜそのような結論に至ったのですか?
福田:客観的な証拠に基づく事実認定こそが裁判の大原則です。ところが東京地裁はその大原則を放棄し、推論に次ぐ推論という信じがたい手法によって被害を甚大に見せかけ、それを根拠に解散命令を下したからです。司法の独立や三権分立の精神はどこへやら、政府とメディアに迎合した極めて政治的な決定であり、明確に国策裁判と言えます。まさに司法によるでっちあげ(捏造)です。具体的な問題点を挙げると、①文科省が提出した、元信者による陳述書の多くに捏造や改ざんが見られること、②文科省側の証人となった元信者の多くが、拉致監禁されて脱会しており、その証言の信ぴょう性に強い疑いがあること、③その証言が何十年も前のものであること、④2009年の教団によるコンプライアンス宣言以後、高額献金裁判の数は激減しており、決定文でも、「近時における被害申告の件数は相当に減少している」としながら、「潜在的な隠れた被害が相当程度ある」と、およそありえない推論を展開していること、⑤和解や示談まで不法行為としていること、⑥宗教法人の解散事由も解散命令請求もそもそも、国際法違反であるのに全く無視していることなどです。これはもう判決(ここでは決定)の体を成していません。そもそも裁判ではありません。

Marco Respinti is an Italian professional journalist, member of the International Federation of Journalists (IFJ), author, translator, and lecturer. He has contributed and contributes to several journals and magazines both in print and online, both in Italy and abroad. Author of books and chapter in books, he has translated and/or edited works by, among others, Edmund Burke, Charles Dickens, T.S. Eliot, Russell Kirk, J.R.R. Tolkien, Régine Pernoud and Gustave Thibon. A Senior fellow at the Russell Kirk Center for Cultural Renewal (a non-partisan, non-profit U.S. educational organization based in Mecosta, Michigan), he is also a founding member as well as a member of the Advisory Council of the Center for European Renewal (a non-profit, non-partisan pan-European educational organization based in The Hague, The Netherlands). A member of the Advisory Council of the European Federation for Freedom of Belief, in December 2022, the Universal Peace Federation bestowed on him, among others, the title of Ambassador of Peace. From February 2018 to December 2022, he has been the Editor-in-Chief of International Family News. He serves as Director-in-Charge of the academic publication The Journal of CESNUR and Bitter Winter: A Magazine on Religious Liberty and Human Rights.


