東京地裁は教会の解散をあらかじめ決定し、それを正当化するため法律を誤って解釈した。
パトリシア・デュバル
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※本稿は、2025年6月30日に国連の関係特別報告者に提出された報告書を掲載したものであり、一部は「Bitter Winter」に掲載されたディプログラミングに関する連載記事を再構成したものです。

「適正手続」とは、私的権利を保護し執行するために定められた規則や原則に従って法的手続きを行うことを意味し、公平な裁判所における公正な公開審理を受ける権利も含まれる。裁判官は公平であるだけでなく、偏見または先入観に左右されてはならない。裁判所は、同時に、分別ある観察者の目に公平に映らなければならない。(自由権規約委員会・一般的意見第32)
しかしながら、裁判所に課された公平性の義務に関する規則と原則が、以下の通り侵害されている。
宗教法人法第81条第1項では、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。」により、政府は裁判所に対してその宗教法人の解散命令を請求できるとされている。
東京地方裁判所は、家庭連合の宗教法人解散を言い渡すにあたって、刑事事件が存在しないなか、はたして民事訴訟の個別判決が「法令違反」に該当するのか、判断することを求められた。
日本の判例は、これまで一貫してこの問いに否定的な答えを示してきた。そして歴代の日本政府もまた、その解釈を維持してきた。本件以前に、宗教法人の解散が裁判所に請求されたのは、わずか2件である。ひとつは、オウム真理教であり、信者が東京の地下鉄にサリンガス攻撃を行った事件。もうひとつは、詐欺罪で信者が有罪判決を受けた明覚寺事件である。いずれのケースも、刑法などの制定法に違反した行為に基づいて解散命令が下された。
オウム真理教に対する解散命令事件においては、検察と東京都知事が提出した解散請求について、東京高等裁判所が「法令違反」の意味を判断した(1995年12月19日付 控訴審判決)。同判決では、「法令違反」とは、刑法などの制定法により定められた禁止規範または命令規範に違反する行為を指すと判断された。この解釈は、1996年1月30日の最高裁の決定においても支持された(平成8(ク)8)。

明覚寺事件においては、和歌山地方裁判所が2002年1月24日、解散となる条件に対して解釈を示し、上級審でもその解釈は維持された。その中で、「法令違反」となる「行為」とは、刑法などの制定法により定められた禁止規範または命令規範に違反する行為を指すと判断された。
このように、一貫して「法令違反」の解釈への理解が存在していたにもかかわらず、統一教会の件では、検察からでなく、宗教法人を所轄する文部科学省によって解散が請求された。しかも政府が根拠としたのは、ディプログラミングを受けた信者たちによる訴訟を含む、古い民事訴訟であった。
政府(文部科学省)は統一教会の解散請求において、40年にわたって提起された32件の民事判決を根拠に、信者は法を破り、「公共の福祉を著しく害した」と結論づけた。またその主張を補強するため、訴訟上および裁判外での金銭的和解も含められていた。
2022年7月の安倍晋三元首相の暗殺後、宗教法人の解散に関する法律条文の解釈が、政府によって一夜にして変更された。これは、政府が、絶え間ないメディアキャンペーンや、教会を犯罪組織と非難する弁護士ネットワークの圧力に屈した結果であった。
犯人の母親は約20年前に教会に献金しており、犯人は安倍氏が教団と近しい関係にあると思い、その恨みから犯行を正当化した。
岸田元首相は、政治的な動機に突き動かされ、メディアの圧力により過去の民事訴訟も「法令違反」と見なされ得ると宣言し、教会の解散を請求した。
東京地方裁判所は、この非常に無理のある、かつ疑わしい理屈に基づき、統一教会の解散を目的としたこの法の再解釈を認めたのである。
統一教会の宗教法人解散決定は、民間の当事者によって提起された民事訴訟に基づいて決定された。これらの訴訟において裁判所は、教会の伝道や献金の勧誘が、いわゆる「洗脳」に基づくものだとして、「社会的相当性」から逸脱していると認定した。
つまり、東京地方裁判所は「社会的相当性」の逸脱を「法令違反」と見なし、これを解散命令の根拠とした。裁判所はこれらの行為は、社会的に相当とされる範囲を逸脱しており、民法上の不法行為として『法令違反』に該当すると判断した。
しかし、「社会的相当性」という概念はあまりにも曖昧であるため、裁判官がその適用対象や時期を恣意的に判断できてしまう危険性がある。また、宗教法人法第81条1項の文言自体も曖昧であり、国際人権基準に反している。
宗教法人法の、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」があった場合に解散を認めるという規定は、日本が自由権規約を批准して以来、国連自由権規約人権委員会が繰り返し勧告してきた内容にも反している。


Patricia Duval is an attorney and a member of the Paris Bar. She has a degree in public law from La Sorbonne University, and specializes in international human rights law. She has defended the rights of minorities of religion or belief in domestic and international fora, and before international institutions such as the European Court of Human Rights, the Council of Europe, the Organization for Security and Co-operation in Europe, the European Union, and the United Nations. She has also published numerous scholarly articles on freedom of religion or belief.

