2024年9月25日にジュネーブで発表された、国連のさまざまな人物や機関に提出された報告書の要約
パトリシア・デュバル著

2013年、拉致されて棄教を強要(“ディプログラミング”)された統一教会(現在は世界平和統一家庭連合と呼ばれる)の信者たちが、自らの最も基本的な権利が不当に侵害されていたことを暴露するため、国連のさまざまな人権機関に詳細な報告書を送った。
自由権規約人権委員会(Human Rights Committee)が日本にこの活動を終わらせるよう勧告し、東京高等裁判所が12年間監禁された被害者に「ディプログラミング」は違法であるとして相応の損害賠償を認める判決を下した後、この現象は徐々に消えていったように見えた。
しかし、2022年7月8日、約20年前に統一教会に献金をしていた信者の息子によって安倍晋三元首相が殺害された後、彼が教会に恨みを抱いたのも安倍首相を暗殺したのも教会のせいだと非難された。
犯罪者を追及する代わりに、反カルト弁護士の組織はメディアで統一教会を「反社会的」「巨悪」と呼んで、教会の責任を追及した。その結果、信者を排斥するメディア報道が相次ぎ、信者に対する前例のない暴力と差別の波が巻き起こった。
30年以上にわたる教会員へのディプログラミングは、政府からお墨付きを与えられて行われてきた。家族が拉致監禁し、プロテスタント牧師が強制説得 する全国的活動を彼らは自分達に都合良く「保護」 と呼んだ。その結果、ディプログラマーや弁護士たちに説得された元信者らが提起する不法行為に基づく損害賠償請求訴訟が雪崩のように起きた。
「洗脳伝道」や「不当な影響力」という概念は、統一教会と戦うために設立された弁護士の組織(全国霊感商法対策弁護士連絡会)が教会を相手取って献金の解消や損害賠償請求訴訟を起こす際に利用されてきた。
裁判所は、消費者法に基づく弁護士連絡会の論法を採用し、献金を募ったメンバーの信仰を無視し、彼らの動機は営利にすぎないと決めつけた。彼らが供述した信仰を無視し、その信仰は新入会員を欺くための隠れ蓑にすぎないとみなした。
日本の裁判所は、統一教会による不当な影響力という前提に基づき、教会の宗教的活動を社会的相当性に照らして判断し、これらの活動、すなわち、信仰を広め、教会の組織を維持するために献金を募る行為を、「反社会的」であり不法であると判示した。
安倍元首相の暗殺後、反統一教会の立場に立つ弁護士連絡会の圧力を受け、政府は統一教会が「社会規範に違反したこと」を理由に敗訴した32件の不法行為による損害賠償請求訴訟を根拠に、宗教法人法第81条に基づき「公共の福祉」を著しく害したとして、宗教法人の解散手続きを開始した。
国連の自由権規約人権委員会は、日本に対し、宗教的信念を表明する権利を制限するために「公共の福祉」という概念を用いるのをやめるよう繰り返し勧告している。公共の福祉の保護は、市民的及び政治的権利に関する国際人権規約第18条第3項で認められた制限ではなく、社会的相当性や社会規範への適合も同様に認められていない。

にもかかわらず、解散手続係属中、日本当局は教会の活動を妨害しようという意図で、2つの特別法を制定した。1つは寄付者の「自由意志」を抑圧するような「不当勧誘」を禁止するもので、もう一つはディプログラムされた元信者による損害賠償請求を助長することで、教会の資産を略奪しようとするものだ。
不当な影響力の理論により、信仰に満足している信者らは宗教活動に関する法的能力を否定され、その家族には、彼らに代わって寄付を解消する権利と、家族崩壊を申し立てて損害賠償請求訴訟を起こす権利が与えられる。
日本政府は数十年にわたって統一教会信者に対する違法なディプログラミングを是認してきたが、今や、背教者から訓練を受けたカウンセラーによる人権教室やカウンセリングを通じて、信者の子供たちの再教育を企図する新たな計画を採用した。
また、「親など信者から離れて一時的に住める場所を確保したうえで生活の再建をしやすくする」ことにより、全体主義国家のように二世信者を家族から引き離すことを企図している。
前述の規定はすべて、統一教会信者の宗教または信条の自由の権利、および自らの信念に従って子供を教育する権利を侵害するものであり、日本の統一教会信者および二世信者にとって劇的な状況を生み出している。
もし日本当局による差別的、抑圧的な措置という憂慮すべき傾向を止めるために何も対策が講じられなければ、この宗教運動は消滅し、信者は他国に移住するか、強制されて信仰を放棄することを受け入れる運命にある。

Patricia Duval is an attorney and a member of the Paris Bar. She has a Master in Public Law from La Sorbonne University, and specializes in international human rights law. She has defended the rights of minorities of religion or belief in domestic and international fora, and before international institutions such as the European Court of Human Rights, the Council of Europe, the Organization for Security and Co-operation in Europe, the European Union, and the United Nations. She has also published numerous scholarly articles on freedom of religion or belief.


