この裁判所の決定は、政治的な動機を持つ貪欲な弁護士による宗教運動への約40年にわたる嫌がらせの頂点である。
パトリシア・デュバル
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2025年3月25日に東京地方裁判所が統一教会の解散を命じた決定は、もし抗告審で維持されるなら、「全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)」による長年の活動の集大成となる可能性があります。この団体は、信仰を偽りと見なし、宗教献金を単なる資金集めに過ぎないと主張する反カルト派弁護士によって構成されています。
同連絡会は、統一教会が反共運動を展開していた初期の時代から、教会を日本から排除することを明言した極左系の弁護士達によって1987年に設立されました。
文鮮明師は、世界平和の実現には無神論的共産主義の拡大を防ぐことが不可欠であると信じており、そのために「国際勝共連合(勝共連合)」や「南北統一運動国民連合」などの団体を設立し、戦後の共産主義拡大によって脅かされる精神性の回復と、朝鮮半島の統一に向けた努力を続けてきました。
「全国霊感商法対策弁護士連絡会」は、教会との対決姿勢を取り続けており、発足当初から、信者は「洗脳」されているという主張のもとに行われる「強制的脱会説得」(いわゆるディプログラミング)に密接に関わってきました。

過去40年以上にわたり、日本国内の統一教会信者約4,300人が、家族による拉致・監禁と、専門の“脱会屋”による強制的脱会説得を通じて、棄教するよう圧力をかけられてきました。これらの行為に対して、当局はほとんど何の対応もしてきませんでした。
全国弁連は、こうした信仰破壊活動を数十年にわたり支援し、最終的に信仰を捨てた元信者に対して、統一教会を相手取る民事訴訟を提起するよう促してきました。これは、彼らにとって「棄教」を証明し、「脱会説得」から解放されるための道でもあったのです。こうした一連の不法行為訴訟の組織的提起と、教会を破壊するための画策を、東京地方裁判所は2025年3月25日の決定において承認したのです。この決定は、現在、高等裁判所に抗告されています。
宗教法人法第81条1項によれば、政府は「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした」ときは、宗教法人に対し解散命令を申し立てることができます。
東京地方裁判所は、犯罪行為が存在しない場合でも、私人間の民事訴訟における判決が「法令違反」に該当し得るかどうか、すなわち宗教法人の解散を認める根拠となるかどうかについて判断を迫られました。
この問題について、最高裁判所は2025年3月3日、解散申立てに先立つ関連訴訟(解散前の手続に関する訴訟)において、肯定的な判断を下しました。東京地裁はこの最高裁の判例をそのまま踏襲し、統一教会の解散を実現するために特別に行われた事実上の判例変更に基づいて判断を下したのです。
しかし、これまでの日本の判例は、この問題に対して一貫して否定的な立場を取ってきました。歴代の日本政府もその解釈を維持しており、1994年と1998年には、全国弁連による統一教会の解散申立ての働きかけを退け、2012年には政府が解散申立てをしなかったことを理由に全国弁連から訴えられましたが、政府が勝訴しています。
ところが、2022年7月に発生した安倍晋三元首相(1954-2022)の暗殺事件が状況を一変させました。犯人である山上徹也は、安倍氏が統一教会の平和構築活動に共感を示していたこと、そして自身の母親(現信者)が20年ほど前に多額の献金をしていたことを動機に、安倍氏を標的としたのです。
教会に対する民事訴訟を積み重ね、解散申立てがなされない事態を断念できなかった全国弁連は、この事件を格好の機会として利用しました。犯人の行為に反カルト運動が影響を与えた可能性が報道されていたにもかかわらず、その関連性については一切調査されず、また、教会に反対する人物による犯行であったという事実も無視されました。それにもかかわらず、弁護士ネットワークは犯人を「被害者」と位置付け、統一教会を攻撃し、この事件の責任は教会にあると主張し、「犯罪的」「反社会的」組織であると決めつけて非難しました。メディアによる激しい非難と世論の圧力によって、安倍政権を支えていた与党勢力は大きな打撃を受け、統一教会はこの事件における“便利なスケープゴート”とされました。
暗殺事件後、首相となっていた岸田文雄氏は、当初は「教会が刑事責任を問われたことは一度もないため、解散申立ては不可能」との見解を表明しました。しかし、メディアをとおして弁護士ネットワークからの圧力が強まる中、岸田首相はわずか24時間以内に態度を一変させ、民事上の不法行為判決のみで解散申立てが可能であるとの見解を示しました。

こうして、宗教法人を所管する文部科学省は、2023年10月13日に統一教会に対する解散申立てを行いました。そして東京地方裁判所は、この申立てに対して判断を下すことになったのです。
安倍元首相の暗殺以降、全国弁連は、統一教会およびその信者に対して、より強圧的な措置を次々と求める活動をメディア上で絶えず続けてきました。与党・自民党は、統一教会との関係を断ち切るよう、まさに「喉元に刃を突きつけられる」ような状況に追い込まれました。全国の学者たちは、発言することに萎縮し、教会への共感や関与を疑われることを極度に恐れるようになりました――特に、1995年のオウム真理教による地下鉄サリン事件の記憶がトラウマとなっていました。このときは、オウムにかつて理解を示した人物が徹底的に糾弾されたからです。
こうして、弁護士たちによって教会に対するあらゆる支援を封じ込めるための“偏執的(パラノイア的)”な雰囲気が作り出され、教会に共感を示す者は犯罪者扱いされるようになりました。この有害な空気は、現在に至るまで続いています。
こうした状況の中で、2025年3月25日、東京地方裁判所が統一教会の解散を認める判断を下したことは、驚くべきことではありません。以下のようにして、長年にわたる解散運動を肯定したのです:
- 強制的脱会(ディプログラミング)の成果の収穫:裁判所は、32件の不法行為に関する民事判決に依拠しました。殆どの事案は数十年前の事実に関するものであり、多くは強制的に棄教させられた元信者らが提起した事件でした。さらには、裁判上・裁判外の和解事例まで加えることで、教会が「類例のない膨大な規模の被害を生じさせた」とする認定を補強しました。
- 近年の被害申告の欠如または減少にもかかわらず、裁判所は、近年における請求の不在または著しい減少を前にして、「声を上げられない潜在的“被害者”が存在するはずだ」とする曖昧かつ架空の理論に依拠し、「被害の継続性」を“合理的推認”で補いました。
- 裁判所は、教会による法令順守の努力や信者の信仰的動機を無視して、教会による献金の勧誘に「悪意の意図があった」と決めつけ、教義や組織が存続する限り不法行為が今後も続くことは避けられないと推定しました。
- 裁判所は、犯罪行為や明確な法令違反が一切存在しないにもかかわらず、不明確かつ定義のない規範である「社会的相当性」の逸脱や、「公共の福祉」・「平穏な生活」の侵害といった理由で宗教法人の解散を命じました。これは日本が締結する人権条約の義務に真っ向から違反します。
この裁判所の決定は、さまざまな点で不公正であり、国際人権法違反です。

Patricia Duval is an attorney and a member of the Paris Bar. She has a Master in Public Law from La Sorbonne University, and specializes in international human rights law. She has defended the rights of minorities of religion or belief in domestic and international fora, and before international institutions such as the European Court of Human Rights, the Council of Europe, the Organization for Security and Co-operation in Europe, the European Union, and the United Nations. She has also published numerous scholarly articles on freedom of religion or belief.


