反カルト弁護士の中心メンバーは反対尋問の中で、信者の親たちをディプログラマーに紹介していたことを認めた。
パトリシア・デュバル
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日本政府が教団の解散請求の根拠とした訴訟の一つにおいて、2015年6月15日、脱会した信者によって提起された東京地方裁判所での裁判で、山口広弁護士が統一教会に不利な証言をするため召喚された。
この訴訟の原告は、名門大学を卒業し、一流企業の幹部候補としての道を歩んでいた。彼女は2001年に統一教会と出会い、信仰を受け入れた。教会に9年間在籍したのち、2010年12月に実家に戻った際、親族に拉致監禁され、ディプログラミングを受けた結果、教会を離れるに至った。
原告は、教団の違法行為について証言するよう、山口弁護士を証人として召喚した。これに対して、教会側の弁護士である福本修也氏が山口氏に反対尋問を行った。福本弁護士は、全国弁連(全国霊感商法対策弁護士連絡会)が、信者の親たちをディプログラマー(脱会屋)に紹介していた件について問いただした。
山口弁護士の証言は次のとおりである:
Q質問(福本): 2000年当時、あなたは宮村(ディプログラマー)にもう紹介を始めてたんですね、この頃は。
A回答(山口): 東京都区内からで、例えば、「奥さんが統一協会の信者として活動してる、どうしたらいいんだろう」というときに、基本的に日本基督教団の牧師さんを私は紹介するようにしておりましたが、やはり、その日本基督教団の牧師さんがお忙しくて対応して頂けない、というようなケースもあるんですね。そういう場合に、「それじゃあ、候補者としてこういう方もいますけれども、電話、必要であれば掛けてみるということもあるかもしれませんね」ということで、複数の候補の一人として、宮村さんをリストに挙げたことはあります。
このように、全国弁連の中心人物である山口広弁護士は、全国弁連が統一教会信者の親に対し、長年にわたり「救出活動」を行う牧師らを紹介していたことを、法廷で自ら認めたのである。

弁護士たちは、牧師たちによる「救出活動」が監禁と強制的な説得を伴い、信者が信仰を放棄しない限り、解放されないことを十分に承知していた。
この事実は、1996年に神戸地方裁判所で行われた民事訴訟の口頭弁論において、ディプログラマーである高澤守牧師が、全国の牧師たちが「救出活動」で用いていた手法について、明確な証言を行ったことからも裏付けられている。
神戸での訴訟は、2001年10月4日に最終判決が確定したもので、原告は3名。神戸の著名な全国弁連の弁護士・吉井正明氏を含む、36名の弁護士によって損害賠償を求めて提訴された。
東京に事務所を構える全国弁連の中心人物・山口広弁護士も、吉井弁護士の指名により訴訟に加わっていた。
裁判の中で、原告側の高澤守牧師(ディプログラマー)は反対尋問を受け、「救出活動」において監禁が一般的に用いられていたことを証言している。
Q質問:拘束したのはいつごろからですか。
A回答(高澤):今申し上げましたように、10年ぐらい前からだと思いますが。それは私だけではなくて、全国的なそういった救出に携わってくださってる牧師さんたちの大体統一した、そういうことだと思います。(1996年5月21日 証人調書 p.25〜26)
このような行為の違法性について問われた際、高澤牧師はそれを認識していると認めつつも、上記の人身保護請求訴訟で全国弁連が用いたのと同様の理屈で正当化した。彼は下記のように、成年信者を対象とした拉致監禁は、親による「保護」の一形態であるため、違法ではないと述べた: Q証人が今までやってこられた救出活動に対して被告統一協会のほうがあれは拉致監禁であるというふうに非難していることはご存じですね。 Aはい、知っております。 Qそういう非難に対してはどのようにお考えでしょうか。 Aこれはやっぱり拉致監禁ではなくて、親御さんが一緒なわけですからあくまでも「保護」と心得ております。(1996年3月26日 証人調書 p.80〜81)
さらに、弁護人がその「保護」の必要性について尋ねた際、彼は信者に信仰を棄てさせるには強制が必要だと率直に認めた: Q救出活動を受けなくても自然脱会したり、それから統一協会から離れていったりというような人はいるんでしょうか。 Aもうしっかり統一協会の信仰を持たれた方は、自然脱会ということは私は不可能だと思います。(1996年3月26日 証人調書 p.81〜82)
より具体的には、ディプログラマーからの許可が下りるまでは、親が子を解放することはできないと明言している: Q.親御さんのほうが解放してしまうという、こういう事はあなたにとってはいかんことなんですね。 Aまあ話合いができないままで終わってしまいますからですね。(1996年5月21日 証人調書 p.29〜31)

この訴訟における原告側代理人の一人であり、全国弁連の中心人物である山口広弁護士は、ディプログラマーの証言によって明らかになった事実を、無視することはできなかった。「知らなかった」と正当化した全国弁連弁護士たちの主張は、痛ましい茶番劇としかいえない。
全国弁連が1987年に設立されて以来、数十年にわたり、同弁連の弁護士によって親たちが牧師に紹介されてきた際、彼らは統一教会信者に対してどのような手段が用いられているかを完全に把握した上で行ってきたのである。
信者が自然に教会を離れることはないというディプログラマーの法廷での証言にもあるとおり、まさにその強制的手段を用いる牧師たちだからこそ、弁護士たちによって、親たちはそこに紹介されたのである。
これこそが、信者に脱会を迫り、「背教者」を作り出して教会を訴えさせ、最終的に解散へと持ち込むという、全国弁連の一貫した戦略だった。
さらに全国弁連が、特に問題を訴えていなかった信者の親にまで積極的に働きかけ、ディプログラマーによる「救出活動」を使うように扇動していたことも、この戦略の一端を裏付けている。

Patricia Duval is an attorney and a member of the Paris Bar. She has a degree in public law from La Sorbonne University, and specializes in international human rights law. She has defended the rights of minorities of religion or belief in domestic and international fora, and before international institutions such as the European Court of Human Rights, the Council of Europe, the Organization for Security and Co-operation in Europe, the European Union, and the United Nations. She has also published numerous scholarly articles on freedom of religion or belief.



