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日本は、自ら署名・批准した国連規約に違反して宗教の自由に対する制限を導入し続けている。
パトリシア・デュバル著*
*2024年9月22日に国連の複数の事務所に送られた報告書
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国連自由権規約人権委員会から繰り返し出される勧告は、日本政府に対し、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(自由権規約)第18条第3項に規定されている、宗教または信念を表明する権利に対して許容される制限の範囲を再認識させている:「3.宗教又は信念を表明する自由については、法律で定める制限であって公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の者の基本的な権利及び自由を保護するために必要なもののみを課することができる。」
社会的相当性と公共の福祉
自由権規約人権委員会が強調したように、公共の福祉は制限事由には含まれておらず、社会的相当性もまた含まれてはいない。
対照的に、委員会は第18条に関する総評22号において、その解釈について次のようなガイドラインを示した:「第18条では、一神教や非一神教の信仰や無神論、および特定の宗教や信念を持つこと、および持たないことの権利を保障している。「信念」や「宗教」という用語は広義に解釈されるべきだ。第18条は伝統的宗教にだけ適用されるのではなく、それらに類似した組織や実践をする宗教や信念にも適用される。そこで同委員会は宗教や信念の如何を問わず、いかなる理由、例えば創設されたばかりの宗教であるとか、弱小教団でありながら有力教団にとって厄介な存在であるなどの諸事情があっても、それらを差別することに対して監視している。」
したがって、一部の宗教的信念や慣習が「社会的に受け入れられている」とは見なされないという事実は、日本が統一教会を宗教界から排除しようとする試みを正当化する基準にはなり得ない。
また、文科省が解散請求で主張した、統一教会の信者が原告らの「正常な判断を妨げる」ことによって原告らに献金をさせ、その結果「親族を含む多数の者の生活の平穏を害した」という議論も全く的外れである。
国際人権法は、親族が新宗教に改宗したことによって家族の「生活の平穏を害すること」を考慮に入れていない。
それは「公共の福祉」を害することも同様であり、日本が締約している規約第18条3項の、宗教または信念を表明する自由に対する制限事由として記されていない。
実際、公共の福祉を著しく害する場合に解散を規定する宗教法人法第81条第1項は、日本政府に対する様々な国連勧告を受けて、ずっと以前に廃止されるべきであった。

伝道
さらに、伝道する権利は宗教的信念を表明する権利の一部であり、同様に保護されている。
宗教または信念の自由に関する元特別報告者ハイナー・ビーレフェルト氏は、人権理事会への2012年中間報告書(2012年8月13日、A/67/303)の一部を「非強制的な説得によって他者を改宗させようとする権利」に充て、「一部の国は、コミュニケーションによる啓蒙活動に厳しい立法上または行政上の制限を課している。非強制的な説得によって他者を改宗させようとする権利は、それ自体が宗教または信念の自由の不可分な一部を構成しており、こうした事態はその権利を不当に制限する可能性がある」と報告した。
前記判決が判決中で述べるところの、統一教会信者が新規に対し、セミナーや研修会への参加を勧誘し、「その教義である「統一原理」に対する理解を徐々に浸透させる」ことは、「非強制的な説得」であり、正当な伝道活動に該当することは疑いがない。
特別報告者はさらに、「こうした制限の多くは、甚だしく差別的な形で概念化され、実施されている」とし、「一般的に布教活動に従事しているという評判の宗教団体の会員はまた、妄想にまでエスカレートし得る社会的偏見に直面する可能性すらある」と述べた。
これこそまさに、日本における統一教会の信者たちが置かれている状況である。彼らは社会的な偏見に直面しており、それが妄想にまでエスカレートし、彼らの伝道が「反社会的活動」と見なされるに至っている。
特に、東京地方裁判所は2008年1月15日に次のような判決を下した(政府の解散請求に含まれる判決):「しかしながら、上記のような行為(勧誘や物品販売行為等)が、その行為者をいたずらに不安に陥れたり、畏怖させたりした上で、そのような心理状態につけ込んで行われ、社会一般的にその行為者の自由な意思に基づくとはいえないような態様で行われたものである場合や、行為者の社会的地位や資産状況等に照らして不相当な多額の金銭を支出させるなど、社会的に考えて一般的に相当と認められる範囲を著しく逸脱するものである場合などには、そのような勧誘行為や物品販売行為等は、反社会的なものと評価され、公序良俗に反するものとして、違法なものになるといわざるを得ない。」
条約によって保護されている権利を侵害するこうした偏見的状況を回避するために、特別報告者は、「国家が必要と考える宣教活動へのいかなる制限も、市民的及び政治的権利に関する国際規約第18条第3項に規定されているすべての基準を満たさなければならない」と結論付けた。

献金の勧誘
宗教や信念を表明する権利には、宗教団体を設立し維持する権利も生来的に備わっており、1981年の国連総会宣言で明記されているように、寄付を募る権利も含まれている。「第6条 思想、良心、宗教又は信念の自由についての権利は、とりわけ次のような自由を含む。(b)適切な慈善的又は人道主義的機関を設立及び維持する自由、(f)個人や機関からの任意の財政的又はその他の寄付を、要請及び受領する自由」
したがって、暴力によって強制するのでない限り、統一教会の信者が教会の運営のために寄付やその他の貢献を募ることは完全に合法である。
統一教会による献金の勧誘や宗教的工芸品の販売活動については、著名な宗教社会学者であり、人種差別、外国人排斥、宗教差別と闘う欧州安全保障協力機構(OSCE)元代表であるマッシモ・イントロヴィニエ氏が発表した詳細なレビューを参照して欲しい。また、この件に関する福田ますみ氏の記事も参照のこと。
いかなる暴力要素も存在しないにもかかわらず、反統一教会の全国弁連は不当な影響力という概念を作り出し、日本の裁判所はこれを採用して寄付金が寄付者の自由意思を侵害して得られたものと認定した。
宗教団体による影響は、統一教会から発せられる場合には、「不当」であり「社会的に受け入れられない」とみなされるのである。
福田ますみ氏は2022年12月に文科省に送った意見書の中で、全国弁連のメンバーである伊藤芳朗弁護士の「他の事件では認められないような請求も相手がカルト宗教だと安易に認められてしまう、という裁判所の傾向がある」「民事訴訟では、カルト宗教だと負けという裁判所の枠組みたいなものがある」という発言を引用した。
以上の結論として、不法行為に関する偏向判決事例と「公共の福祉」を巡る瑕疵ある法条に基づく政府の統一教会に対する解散請求は、条約に基づく日本の義務に対する重大な違反を構成する。

Patricia Duval is an attorney and a member of the Paris Bar. She has a Master in Public Law from La Sorbonne University, and specializes in international human rights law. She has defended the rights of minorities of religion or belief in domestic and international fora, and before international institutions such as the European Court of Human Rights, the Council of Europe, the Organization for Security and Co-operation in Europe, the European Union, and the United Nations. She has also published numerous scholarly articles on freedom of religion or belief.


