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日本における統一教会の解散:誤った決定の徹底分析1:「霊感商法」と刑事事件

by | Apr 8, 2025 | Documents and Translations, Japanese

この判決は教会の信者(教会自体ではない)に対する刑事判決に言及しているが、それは解散の論拠の一部ではなかった。

マッシモ・イントロヴィニエ

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The Tokyo District Court. Credits.
東京地方裁判所。Credits.

2025年3月25日、東京地方裁判所は、かつては統一教会として知られ、現在でもしばしばその名称(以下、「統一教会」または「教会」という)で呼ばれる世界平和統一家庭連合の日本支部の解散を求める文部科学省の請求を認めた。この請求は、2022年に安倍晋三元首相が暗殺された後、教会の長年の反対者、特に反カルトの全国霊感商法対策弁護士連絡会が扇動したキャンペーンを受けて行われた。暗殺者は、母親が信者である教会に対する安倍氏の友好的な態度を罰したかったと主張した。彼は、母親が教会に多額の献金をしたために2002年に破産したと述べた。

暗殺者は、破産から20年も経ってからなぜ行動を起こしたのかについては説明しなかった。親族の苦情を受けて献金の半分が返金されたという事実にも言及しなかった。全国霊感商法対策弁護士連絡会(「全国弁連」)は、ほとんどが社会党員または共産党員である弁護士グループによって1987年に設立され、教会の関係団体の反共産主義および親米キャンペーンの成功を阻止するという目的を持っていたことを公言していたという、決定的で議論の余地のない証拠がある。

東京地方裁判所の判決は偏っており、疑似科学的なマインド・コントロール理論に基づいており、矛盾している。一言でいえば、それは間違っている。教会を解散させる理由を分析することで、そのことを実証したい。

判決では、教会は1964年に宗教法人として設立され、(信仰だけでは存続できないすべての大規模宗教団体にとって通常であるように)その規則に定められた目的の中に、精神的および社会的目標を支えるために必要な「財務及び業務並びに事業を行なう」ことが含まれていると指摘している。

この事案は、特定の「経済活動」、つまり金銭の収集ならびに商業価値を超える価格での工芸品の販売による献金の勧誘のみに関するもので、裁判所は販売行為も献金とみなしている。安倍首相暗殺後の世論の論争は、厳格で保守的すぎると非難された二世信者の教育、教会が宗教というよりは「カルト」であるということ、そして教会が創設され本部がある韓国の利益を促進するために日本を貶めたという疑惑にも焦点を当てていたが、判決ではこれらの問題はいずれも議論されていない。解散は、不法な献金勧誘のみに基づいている。

裁判所は、いわゆる「霊感商法」に焦点を当てている。これは、全国弁連とその弁護士らが、教会に反対する政治的な動機に基づくプロパガンダを推進するために作った造語である。判決では「霊感商法」を、多宝塔や印章などの工芸品を法外な価格で販売し、「怨恨を持つ先祖の霊の因縁等により不幸が生ずるといった不安を利用して物品の購入をさせる」行為と定義している。裁判所によると、他のケースでは、同じ方法で献金の勧誘が行われた。工芸品の販売と金銭の収集という2つのケースは、裁判所では実質的に異なるとはみなされておらず、一緒に議論されている。

解散の決定を正当化するために、裁判所は9つの質問に対して肯定的に答えなければならなかった。このシリーズでは、それらを1つずつ検証する。

最初の質問は「教会は犯罪行為を行ったか?」である。

裁判所は、教会の信者個人や信者が経営する会社が行った犯罪行為が、宗教法人法第81条第1項第1号にいう「宗教法人の行為」に該当するかどうかを問うている。裁判所が言う「犯罪行為」とは、いわゆる「霊感商法」に関与していた4つの会社の役員らが行った行為である。判決はこれらの犯罪行為に触れているが、解散の論拠には入っていない。判決がなぜこれらの犯罪行為に触れ、数段落を割いて「宗教法人の行為」と断定しているのか不明である。おそらく、このページの目的は、教会が「疑わしい」団体であるという印象を与えることにあるのだろう。

「霊感商法」:統一教会の日本人信者(教会自体ではなく)が、幸運をもたらすと主張して法外な値段で販売したと非難された商品。
「霊感商法」:統一教会の日本人信者(教会自体ではなく)が、幸運をもたらすと主張して法外な値段で販売したと非難された商品。

裁判所は、沖縄簡易裁判所が天守堂という印章販売店の代表、店長、従業員の計3人の被告に対して下した刑事判決(2007年)、新潟簡易裁判所が仏具販売を営む株式会社北玄の代表者を含む3人に対して下した刑事判決(2008年)、福岡簡易裁判所が工芸品や半貴石の訪問販売を営んでいた有限会社サンジャスト福岡の販売外交員に対して下した刑事判決(2009年)、印章などの販売を営む有限会社新世の役員3人に対して下した刑事判決(東京地裁)に言及している。最後の判決は、罰金刑に加え、同社の代表取締役に懲役2年(執行猶予4年)、営業部長に懲役1年6カ月(執行猶予4年)の判決を下した唯一の例である。

さらに、裁判所は、1971年に統一教会の信者によって設立された幸世商事株式会社の活動について長々と論じている。同社は後に「世界のしあわせ株式会社」、そして「株式会社ハッピーワールド」(以下「ハッピーワールド」という)に社名を変更した。同社の事業は、高麗人参茶、高麗大理石壺、多宝塔、印章の販売であった。ハッピーワールドの幹部に対する刑事判決は出なかったが、裁判所は同社を「霊感商法」の主犯であると認定している。

ハッピーワールドが自社製品を販売するために過激で好ましくない行為を行っていたことは事実である。これは、マイケル・L・ミックラーなどの統一教会の信者である学者も著書『統一教会運動』(ケンブリッジ:ケンブリッジ大学出版局、2022年、26ページ)で認めている。しかし、東京地方裁判所が審理する問題は、ハッピーワールドと、刑事裁判所によって代表者が制裁を受けた4つの会社の活動が「宗教法人の行為」、すなわち教会の行為であったかどうかである。

裁判所は、この質問に肯定的な答えが可能であることを示唆するために、日本の最高裁判所の判例との区別をしなければならなかった。1995年に東京の地下鉄でサリンガスを使った致命的なテロを起こした新宗教運動オウム真理教の事件に関する1996年の判決で、最高裁判所は、宗教法人の「役員および幹部」に対する刑事判決のみが、解散事案における「宗教法人の行為」に関するものとみなすことができると述べた。東京地方裁判所は、この判決や同様の下級裁判所の判決は「当該事案(オウム真理教)の事実関係に即して判断をするために上記説示をした」にすぎず、統一教会には当てはまらないと主張している。

しかし、この主張は説得力に欠ける。裁判所は、ハッピーワールドの幹部らが日本の統一教会の指導者らからスピーチや教会の雑誌の記事で賞賛され、そのうちの一つには当時のハッピーワールド社長の「挨拶文」も掲載されていたと報告して、この主張を裏付けようとしているが、これは彼らが統一教会の代表として活動していたことを証明するものではない。いずれにせよ、刑事事件で有罪判決を受けたのはハッピーワールドではなく、別の会社の代表だった。

明らかに、宗教団体のメンバーが犯した犯罪のすべてがその団体の責任であるとされ、解散の根拠として使われるわけではない。さもなくば、小児性愛の司祭に関する事件がローマカトリック教会を解散させる根拠になるであろう。

また、ハッピーワールドに関わる事件は20年以上前に遡る。判決は、統一教会が1987年には早くもハッピーワールドを抑制しようとしていたことを認めている。「その後、ハッピーワールドは、当時の厚生省等に対し、『いわゆる「霊感商法」といわれる誤解を生ずるような物品販売は一切禁止することを昭和62年3月末をもって弊社関連業者に徹底通知』した旨を文書で報告するとともに、利害関係参加人に対し、これらの顛末等を報告する内容の文書を送付し、昭和62年頃以降は被害申告の件数が減少するようになった」と判決は伝えている。結局、ハッピーワールドは営業を停止した。

全国霊感商法対策弁護士連絡会の創設者の一人、山口広弁護士。スクリーンショット。
全国霊感商法対策弁護士連絡会の創設者の一人、山口広弁護士。スクリーンショット。

刑事判決で有罪となった人々の活動が教会の活動ではないという結論を支持するもう一つの論拠は、仏壇や数珠の販売が含まれていたということである。主流派のキリスト教徒はその正統性に疑問を抱くかもしれないが、統一教会はキリスト教系の新宗教運動である。その信者は仏壇や数珠を使用しておらず、これは個々の信者が私的な商業活動としてそれらの販売に積極的に取り組んでいたという事実と矛盾しない。

したがって、「宗教法人の行為」に対する刑事判決はなかったと結論づけることができる。信者個人が、教会を代表して行ったのではない行為に対して、有罪判決を受けたのである。数十万人の信者を抱える宗教団体で、刑事裁判で有罪判決を受けた信者が一人もいないところを探すのは難しいだろう。統一教会の信者に対するこれらの刑事判決の数が、他の大規模宗教の信者よりも多かったという証拠はない。

しかし、前述のように、解散事由となる法律違反を論じる部分では、裁判所は民法上の不法行為の過去の事例のみを検討していることを再度強調しておくことが重要である。過去に商業活動で有罪判決を受けた個人に関する事例については一切議論されていない。これらの刑事事件は背景説明においてのみ言及されているのである。

解散事由の有無を判断する根拠として、これらの有罪判決は考慮されなかった。判決は、明確には述べていないものの、団体が「反社会的」であることを示唆するために、このような事例を持ち出したと推測できる。

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