BITTER WINTER

12年以上脱会屋に監禁された旧統一教会信者・後藤徹氏の自伝が出版

by | Feb 21, 2025 | Japanese, Documents and Translations

旧統一教会が解散になると、忌まわしき「ディプログラミング(拉致監禁・強制改宗)」がまた引き起こされる

弁護士 中 山 達 樹

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Toru Goto, President of Japan Victims’ Association Against Religious Kidnapping & Forced Conversion, speaks about his experience at a lecture given for the publication of his autobiography “Desperate Struggle” (photo by Sekai Nippo).
旧統一教会が解散になると、忌まわしき「ディプログラミング(拉致監禁・強制改宗)」がまた引き起こされる

後藤徹氏(61歳)は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の信者を標的として行われた拉致監禁・強制改宗の被害を受けた者で構成される全国拉致監禁・強制改宗被害者の会代表として、自伝『死闘 監禁4536日からの生還』を出版した。

本書で後藤氏は、親族や脱会屋によって12年間監禁された経験と、解放後に始めた訴訟につき触れている。後藤氏は、家庭連合を異端視するキリスト教の牧師や脱会屋・宮村峻氏の指導を受けた親族により、31歳から44歳までの12年5か月間、マンションで監禁された。

監禁された東京都杉並区のマンションから解放されたちょうど17年目にあたる2025年2月10日、家庭連合の信者・後藤氏は約300人の聴衆を前に、自伝の出版を発表する記念講演を行った。

後藤氏は講演の中で、強制改宗を目的とした信者の拉致監禁を「全ての自由を奪う、戦後最悪の人権侵害」と説明した。実際、後藤氏は19度にわたり選挙権を行使できなかった。監禁当初の6年間は、監禁場所の住所 -それが東京なのか何処なのか- すら知らされなかった。自伝出版にあたり、「信仰の自由というものが一体どういうものか、考えるきっかけになれば」と語った。

講演会には家庭連合の田中富広会長も招かれ、「絶対に許せないのは、人間として断ち切れない親子の情が悪用されたことだ」と強調した。監禁被害者は、加害者が親であるだけに、加害者を完全に憎むことすらできなかった。愛と憎しみのはざまで、悶え苦しんだのである。田中会長は「この本で後藤さんの『死闘』を追体験できる」旨を語った。

また、田中会長は「仮に家庭連合が解散になったら、その瞬間にまた拉致監禁が起こるでしょう」と強い懸念を表明した。2015年、後藤徹氏が脱会屋らに民事裁判で勝利後、家庭連合信者に対する拉致監禁は激減した。しかし、家庭連合が解散になった場合、信者の親族は家庭連合を「反社会的だ」と感じ、違法な拉致監禁により信者を「保護」(実際は監禁)しようとするおそれが高い。拉致監禁の悪質性・非人道性は、日本ではまだ十分に認識されていないからである。そのため、この本は、拉致監禁問題に詳しくない人に広く読まれてほしい。

講演では、日本基督教団の元牧師で、現在は独立系牧師の岩本龍弘氏が祝辞を述べ、統一教会を攻撃するために拉致監禁(同教団は「保護説得」と主張)を計画・助長してきた日本基督教団の古くからの党派的な立場を強調した。

反カルト「ジャーナリスト」の鈴木エイトに対し名誉毀損訴訟で後藤氏を代理して勝訴した徳永信一弁護士は、「この『死闘』は、アウシュビッツ収容所体験につきV.E.フランクルが著した名著『夜と霧』の日本版である」と述べ、長期監禁から解放された直後の後藤氏の姿が「現代のホロコースト」と呼ばれることを彷彿とさせた。

田中富広家庭連合会長(前列右端)、後藤徹氏(前列右から2番目)、徳永信一弁護士(左から3番目)及び中山達樹弁護士(左端)は、拉致監禁・強制改宗の違法性を訴えるべく行進した(写真:世界日報)。
田中富広家庭連合会長(前列右端)、後藤徹氏(前列右から2番目)、徳永信一弁護士(左から3番目)及び中山達樹弁護士(左端)は、拉致監禁・強制改宗の違法性を訴えるべく行進した(写真:世界日報)。

講演後、参加者は後藤氏が監禁されていたマンションまで約3kmのラリー行進を行い、後藤氏を先頭にして「信教の自由と基本的人権を守ろう」「家庭連合信者に対する拉致監禁・強制棄教は犯罪だ」などのスローガンを叫んだ。

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