民事訴訟では、刑事訴訟のような厳格な事実認定基準は求められない。そのため、民事訴訟は解散の根拠として用いられるべきではない。
福本修也

東京地裁は家庭連合がコンプライアンス宣言を行った2009年より以前の不法行為については、家庭連合が敗訴した民事判決、及び、裁判上・裁判外の和解によって認められると判断した。しかし、和解事実から不法行為を合理的に推測するなど異常なことである。更に民事判決についても解散事由の判断理由とすることには以下の通り問題があったが、いずれも退けられた。
一般的に民事事件では刑事事件におけるような厳格な事実認定は行われない。即ち、刑事訴訟では、「疑わしきは被告人の利益」とされ、有罪立証には「合理的な疑いを容れない程度」の高度の立証が要求されるが、民事訴訟で不法行為の認定は、「証拠の優越」(有力な証拠の程度)で認定され、高度の立証は要求されない。
しかるに、法人に科される刑罰である罰金刑を科す際にも厳格な刑事手続が適用されることを考慮すれば、解散の不利益は罰金刑とは比べものにならないのであるから、解散に際しては当然、厳格な認定基準が用いられるべきである。したがって、民事手続によって認定された過去の民事判決は解散事由判断の証拠とすべきではない。
特に家庭連合を被告とする案件では、いわゆる「被害者」の救済を意識してか、裁判所は「被害者」の供述は採用するが、家庭連合側証人の証言は採用しない。このため全国弁連所属弁護士ですら、裁判には「カルトだと負け」という不文律があると証言するほどであった。

西欧では「背教者」の証言には信憑性がないとの見解が学会では定説となっているが、日本の裁判所はこうした定説を知らなかったため「被害者」の証言を偏重したのであった。したがって、こうした不公正な認定によって得られた過去の民事判決を解散事由判断の証拠とすべきではない。
本件決定は、反対尋問が行われているから公正な認定がなされていると判示するが、反対尋問に対して正直に証言しないことが「背教者」の特徴であり、反対尋問は何ら背教者の証言の真実性を担保するものではない。
文科省が証拠として提出した32件の民事判決の原告らの過半数は拉致監禁の被害者であった。拉致監禁された者は、監禁する側の意向に沿うよう証言せざるを得ない者達であり、そうした者達が原告となった判決を証拠とすべきではない。
また、そもそも、家庭連合に対して政治的に敵対する者がいるからこそ、こうした問題が起きるのであり、反対する者らの反対活動がなければこれほどの「被害者」が生じることなどあり得ない。
文科省が提出する判決には、岡山、神戸における「青春を返せ訴訟」等、1審では勝訴しても、高裁で敗訴したものがある。1審で勝訴したということは、裁判官(地裁判事)が見ても、違法とは認められなかったということである。裁判官の間でも見解が分かれるような行為を解散理由とすべきではない。

文科省が提出する判決は、事案により違法性認定基準が異なっており、総じて言えば、家庭連合の全面勝訴を防ぐにはどのような違法性認定基準を立てるべきかの観点から基準が設定されている。したがって、こうした判断の結果である民事判決を解散事由の判断資料とすべきでない。
家庭連合の信者の行為に違法性を認定する際、裁判所は、「社会的相当性の逸脱」といった社会規範違反を理由としている。しかるに、社会規範を理由に宗教的表現の自由を制約することは前記国際自由権規約18条3項によって許されておらず、過去の民事判決は全て国際法違反である。したがって、こうした判決をもって解散事由とすべきではない。

Nobuya Fukumoto graduated in March 1988 from the Faculty of Law, The University of Tokyo. In October 1988, he passed the National Bar Examination. In April 1991, he was appointed as a Public Prosecutor. In 1996, he studied at the University of Notre Dame Law School, in the USA. In 1997, he
served at the Ministry of Justice. From
August 2000, he is an attorney at law in private practice, with extensive experience in legal writing and publications.

