マスコミは、両親の教会に対して不満を持ち脱会した数名の子ども達の主張を強調し広めている。では、現在も教会に残り差別と誹謗中傷を受け続けている大勢の子ども達はどうなっているのか。
シロトリ・セイジン・アンソニーによる証言*
*2025年7月10日にオーストリア、ウィーンで開催された第八回欧州宗教学アカデミー年次大会の一コマ、「新宗教運動の二世背教者と反カルト運動」の講話の際に発表された証言。

私の名前はシロトリ・セイジン・アンソニーと申します。私は「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)の二世信徒です。
本日は、私の信仰についてお話しするとともに、日本における私たちの教会の現状について、私自身の考えを共有させていただきたいと思います。教会名にもあるとおり「家庭」は私たちの信仰の中心です。ですので、まずは私自身の家庭について少し紹介させてください。 私の両親は教会に入信し、文鮮明総裁によるマッチングのもと、「祝福式」(いわゆる合同結婚式)に参加しました。
父は日本人で、母はメキシコ系アメリカ人です。私はアメリカで生まれ、その後家族で日本に移住し、日本で学校に通いながら成長しました。育つ中で、両親だけでなく、日本とアメリカそれぞれの祖父母からも多くの愛情を受けました。その愛のおかげで、私は東洋と西洋、両方の文化の良さを実体験として学ぶことができました。妹が一人おり、私は彼女をとても誇りに思っています。家族をいつも笑顔にしてくれる妹の兄であることは私の大きな喜びです。
2008年、私は文鮮明総裁によって妻とマッチングされ、両親と同じように、ニューヨークで祝福式に参加しました。妻とは16年間、幸せな結婚生活を送り、私たちには愛する息子もいます。さらに、私の義理の両親も私を実の息子のように愛してくれ、親戚も本当に善良で誠実な方々ばかりです。 私は二世信徒であるため、改宗者のように自ら選んでこの教会に入ったわけではありません。私は生まれながらにしてこの信仰の中で育ち、そしてこの信仰に形づくられてきました。このような私を可哀想に思ったり、「洗脳されたのでは」と疑う方もいるかもしれません。ですが私にとって教会は、深い意味と、人生の基盤、そしてコミュニティとのつながりの源でした。
私の両親の世代は混乱の中で真理と平和を求め、教会に出会いました。一方、私たちの世代はその理想を体現するように育てられてきました。そのようにして育った私たちが「完璧である」という訳ではございませんが、私たちの教会と信仰に対する誠実さが本物であることに変わりはありません。
日本で家庭連合二世信者として育つことは、常に緊張を伴いました。
自分の育ちや信仰に忠実であろうとする一方で、信仰を誤解し、揶揄する世間の中で生きていかなければなりませんでした。私は、「壁」ではなく「架け橋」のような存在になることを目指してきました。
私は三か国語を話し、通訳や翻訳の仕事をしながら、日本と私の信仰共同体の両方に誠実に貢献できるよう努めてきました。しかし、日本政府が私の「心の故郷」を解体していく様子を、マスコミが歓声をあげながら見ているのを見ると、自分がこの国で育ったにもかかわらず、よそ者になったような感覚に陥ります。
私は現在、うつ病を患っており、数年前から治療を受けていますが、東京地裁が解散命令を出して以来、症状が悪化しています。不安感はひどくなり、不眠に悩まされ、抗うつ剤と睡眠薬に頼らざるを得ません。マスコミによる終わりのないネガティブな報道は、私を「人間とすらみられていないではないか」と感じさせ、存在すら否定されているように思えてきます。
「たとえ教団が解散されても、信仰生活は続けられる」と言う方々もいます。しかし、すでに若い信徒の中には報道のゆえ自ら命を絶った者もおり、また、教会員が非人道的に扱われている事例も複数あります。私は、解散命令が「この教会の信者は人間以下である」という社会的メッセージとして受け取られてしまうのではないかと、強い懸念を抱いています。
私たちの教会に敵対している方々は、私たちを「反社会的存在」だと決めつけ、マスコミの一部の方々は私たちのことを「精神異常者」や「繁殖期のゴキブリ」といった言葉で嘲笑しました。日本社会の多くの方が、「統一教会に対してなら、何をしても何を言っても許される」と信じているように感じます。
私はときどき思います。いったい何人の信者の人権が侵害されたら、人々は私たちの苦しみに気づくのだろうか。どれほどの血が流され、どれほどの人生が壊されたら、社会は「彼らも同じ人間だ」と気づいてくれるのだろうかと。
また私は、今回の解散命令が、安倍晋三元首相の暗殺という事件を契機に下されたことにも、深く憂慮しています。もし教会の教えを実践するために、教会員が安倍氏の命を奪ったのであれば、解散を求める声にも理解はできます。しかし実際には、犯人は教会を「傷つけたい」という動機で安倍氏を襲撃したのであり、教会を支援するためではありませんでした。

にもかかわらず、日本政府と裁判所が解散命令を出したことは、日本社会、さらには国際社会に対し、「テロを行えば、目的を達成できる」というメッセージを発信してしまったと思えてなりません。私には、日本社会がテロに対抗する努力をほとんどせず、家庭連合を悪者に仕立てあげ、叩くことに忙しくしているように見えます。実際、安倍元首相の死後、岸田文雄元首相や「NHK党」創設者の立花孝志氏までもが白昼堂々と襲撃される事件が起きています。
このまま家庭連合に対する解散命令が覆らなければ、日本はテロリストが横行する国になってしまうのではないかと、私は本気で危惧しています。また、家庭連合の解散を支持する「全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)」のような、中国寄りの左派勢力は、創設以来、一貫して「スパイ防止法」の制定にも反対してきました。もしこのような勢力の思惑通りになれば、日本はスパイやテロリストの温床となり、アジア、さらには世界において宗教の自由を弾圧する中国共産党の手先になりかねません。
私は日本のマスコミや政府に深く傷つけられましたが、歴史上、多くの信仰者たちが信仰のために苦しんできたことを知っています。古代ローマ時代のキリスト教徒、ナチス・ドイツ時代のユダヤの方々、中国で迫害される法輪功の信者の方々です。
信仰を守り、自分らしくあるための痛みに向き合いながら、私は彼らを忘れず、自分の信仰と価値観を貫くことで彼らに恥じぬよう努めていきます。
私は、神と家族を中心とした徳のある人生を歩む努力を続けながら、人生の喜びを決して見失わないようにしたいと思います。
安倍元首相の悲劇的な死を無駄にしないためにも、努力を惜しまないと誓います。実は、安倍元首相の国葬の日は、私の誕生日でもありました。
教会にとどまり、信仰生活を続けていくことこそが、私が安倍元首相へお捧げできる最大の敬意であり、私の「第二の故郷」である日本への恩返しだと思っています。これからも、世界平和統一家庭連合の素晴らしさを多くの方々に伝え、世界をより良くしていけるように努力してまいります。

日本における状況は非常に残念でなりませんが、それでも多くの信徒が、若者も高齢者も、激しい逆風の中で信仰を守り通している姿に、大きな勇気をもらっています。
私たちは、今この教会に降りかかる危機の背後には、はるかに大きな力が働いていると信じています。
他の宗教を信じている方々を代表する思いで、私たちはこれからも声を上げていきます。教会を守る闘いを通して、私たちは世界における宗教の自由を守ることに貢献できるよう祈り、願っています。

Seijin Anthony Shirotori is a second-generation member of the Family Federation for World Peace and Unification (formerly known as the Unification Church) of Japanese and Mexican American descent. He has worked as a translator and interpreter.


