いわゆる「被害者」たちは政治家やメディアに対して自らの被害を語る。しかし、その親族たちは、それは真実ではないと主張し(証明する)。
マッシモ・イントロヴィニエ
3本の記事の1本目
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2022年7月8日、日本の安倍晋三元首相は、統一教会の関連団体に協力したことを理由に成敗したかったと主張する男によって暗殺された。男は、統一教会が過度な献金をさせることによって母親を破産させたと非難した。Bitter Winterの連載記事が示してきたように、統一教会(現在は世界平和統一家族連合と呼ばれている)は、安倍首相とともに、そのリーダーの殺害を計画していた暗殺者の被害者であった。しかし、反カルトのキャンペーンは、被害者と加害者の立場を逆転させ、この犯罪に対する責任が家庭連合にあるということを、ほとんどの日本のメディアや国際メディアに対して説得してきた。
その魔女狩りは今も続いており、こうしたケースではよくあることだが、背教者の元信者によるフェーク・ニュースによって支えられている。日本のメディアは、岸田文夫首相自身が「小川さゆり」という仮名を使う元信者の女性と会う予定であると報じた。彼女は安倍首相が暗殺された後に、8月23日に立憲民主党が主催した会議や、10月7日に日本外国特派員協会で開催された記者会見などで、統一教会を批判する発言を行った。しかし彼女の語ったストーリーは多くの点で明らかに虚偽である。
小川さんが日本外国特派員協会で記者会見を行った際、彼女の両親と家庭連合は連名で、会見の中止を要請した。その理由は、彼女がすでに多くの場所で語ってきたことが虚偽で中傷的であるという事実と、彼女がTwitterで自身を「解離性同一性障害、うつ病、パニック障害」に苦しんでいると記述していたことから、彼女の精神状態をさらに悪化させる可能性があるという親心からであった。これは、家庭連合が勇敢な証人に会見をやめさせようとした証拠として、記者会見中に提示された。しかし小川さんの母親は、25ページの書類が添付された17ページの陳述書に署名しており、そのコピーはBitter Winter が保管している。そこには彼女についての本当のストーリーが綴られていた。

これは、単に母と娘の語る内容が矛盾しているということではなかった。母親は娘に対して、彼女の証言を裏付ける銀行口座記録など別の書類を出すように要求した。母親の陳述書における主張は関係する証拠によって確認されているが、彼女は何も証拠を提示できていない。
一言でいえば、小川さんは父が元教会長、母が教会スタッフという統一教会の環境下で成長し、宗教団体への献金のゆえに貧困に苦しんでいたという主張をしている。
彼女は学校で組織的にいじめられていた。また、彼女は厳格な両親によって性に対する恐怖心を植え付けられ、彼女が統一教会員ではない男性と一緒に暮らすことにしたとき、両親と絶縁したと主張した。
彼女は、日本と韓国で統一教会の行事に参加したという。しかし、彼女が教育された教義と儀式の不条理な結果として、精神的問題を発症し、入院しなければならなくなった。学生時代にアルバイトで稼いだ給料を親に没収され、彼女が入院中にその預金を両親に引き出され、そのお金は統一教会へ献金された。彼女はいま、統一教会・家庭連合は悪質な団体であると確信していると主張している。彼女は教団の解散と、フランスの法律をモデルにした反カルト法を日本に導入すべきだと訴えた。
後者の要求は、小川さんが反カルト運動によって指導されていることを証明している。安倍首相暗殺の前に、彼女は「カルト」に反対する運動に関心を示したことはなかったし、フランスの法律については聞いたこともなかったはずだ。彼女の話で唯一真実といえるのは、彼女の両親が統一教会に熱心に奉仕していたということだが、牧師をしていたのは彼女の父親だけであった。

彼女の母親は、彼女が学校でいじめられていたという話を聞いたことがなかった。母親は、彼女が優秀な学生の全国大会に出場して受賞したことを証言している。これはのけ者にされ、いじめられた子供の像とはまったくかけ離れている。母親は、娘が結婚するまで純潔を保つという理想に基づいた教育を受けたことは認めているが、彼女が教会外で結婚することを決めたあと、両親が彼女と絶縁したというのは事実でないと主張している。彼女の結婚式で、両親が笑顔でお祝いしている様子を写した写真が存在するのである。
母親によれば、小川さんの家庭は常に貧しかったため、たとえしたくても統一教会に高額な献金をすることはできなかったという。成人した子供とその両親との間の金銭問題は常に不愉快なものだが、娘が高校の時にアルバイトでいくらかのお金を稼いだときに、母親は一度だけ小川さんからお金を借りたことがあると認めている。母親は娘から16万円 (いま小川さんが言っている数百万円ではない) を借りたが、これは統一教会への献金のためでなく、小川さんの兄の学費を支払うために使われた。彼女の主張とは全く逆に、彼女の父親と兄は後に借りた金額をすでに返済し、彼女はそれを受け取っている。また彼女が実家を出て、ボーイフレンドと一緒に暮らすためにお金が必要だった数年間、彼女は家族の口座からより多くのお金を勝手に引き出した。
最も重要なことは、彼女の母親の証言によれば、安倍首相の暗殺が起きる前、そして7月12日の全国霊感商法対策弁護士連絡会の記者会見の以前に、小川さんが統一教会を批判したことは一度もなく、両親に対する愛着と愛情の言葉を語っていたというのである。
2017年9月に至っても、すなわち彼女の証言によれば家庭連合を去った後にも、小川さんは教会行事で歌を歌っており、このことは教会に対する彼女の態度が敵対的ではなかったことを証明している。小川さんが元統一教会信者の活動家であると自己紹介し、虐待と被害に対する補償として両親に金銭を要求し始めたのは、2022年7月以降のことである。
彼女の話は常に変わり続けた。そして彼女は、統一教会の指導者からセクハラを受けたことがあり、そのことを母親に報告したと付け加えたが、母親はそのような話を彼女からは聞いたことはなかったと主張している。また彼女は、両親は明らかに家庭連合が非難されている「霊感商法」または高額献金の被害者であり、一時期統一教会員が多額の献金をしたときに受け取っていた工芸品をいくつか実家で見たと主張した。
しかし母親は、家族が高額な商品を購入するためのお金を持っていなかったことと、既に亡くなった信徒からお金を払わずに工芸品のいくつかを受け継いだことを小川さん自身が知っていると主張している。
小川さんはまた、一夜にして統一教会の問題の専門家になり、彼女が生まれるかなり前に文師が行った説教で、「統一教会に献金するために日本の信者にお金を借金してでも、体を売ってでもするよう」勧めたという言葉を引用した。文師がそのようなことを語ったことはない。彼女が言及した説教は韓国語で行われたものであり、文師は韓国人の男性信者(日本人ではない)に、一般的な韓国の表現を使って、教会の仕事に「身も心も」捧げるように促したのであって、これは売春とは何の関係もない。小川さんは1988年の説教に言及していたが、彼女は1995年生まれだった。明らかに、彼女はその説教を直接聞くことはできなかったし、彼女を「操っている」反カルト運動から聞いたことを繰り返しているに過ぎない。彼女は、父親が自身の説教でこれらの言葉を引用したと主張して、この反論に答えようとした。しかし、彼女の父親はそれをきっぱりと否定し、小川さんが参加していたのは子供や学生向けの礼拝であり、そこでは献金に関わることはまったく語られないと述べている。
小川さんが精神衛生上の問題を抱えていることを思えば、彼女がメディアに嘘を広めた責任は部分的なものに過ぎないと私は信じる。より責任が重いのは、彼女の状態を利用し、統一教会・家庭連合に対するキャンペーンの武器として、彼女を利用した者たちである。

間違ったストーリーが語られるのは、小川さんのケースだけではない。安倍元首相の暗殺者である山上自身の問題は、すべて統一教会への彼の母親の献金のせいにされている。しかし彼女の親戚が統一教会に抗議したとき、統一教会のメンバーが彼女の献金額の50%を、彼女と山上徹也を含む家族に返金し、それ以上の請求をしない旨の承諾書に署名したことは、決して言及されない。また、山上の問題が父親の自殺に由来していることも語られないが、これは母親が統一教会に入信する以前に起こったものであり、教会とは無関係であった。
配偶者が旧統一教会の信徒であり、教会に高額献金したために家庭が崩壊したと主張する、もう一人のいわゆる「被害者」の話は、当の配偶者の話と矛盾している。彼女はしばしば家庭内暴力があったと、まったく異なるストーリーを語っている。このシリーズの次の記事で説明するように、これらのフェーク・ニュースはすべて家庭連合の法的な解散を目指したキャンペーンを促進するために利用されているのである。

Massimo Introvigne (born June 14, 1955 in Rome) is an Italian sociologist of religions. He is the founder and managing director of the Center for Studies on New Religions (CESNUR), an international network of scholars who study new religious movements. Introvigne is the author of some 70 books and more than 100 articles in the field of sociology of religion. He was the main author of the Enciclopedia delle religioni in Italia (Encyclopedia of Religions in Italy). He is a member of the editorial board for the Interdisciplinary Journal of Research on Religion and of the executive board of University of California Press’ Nova Religio. From January 5 to December 31, 2011, he has served as the “Representative on combating racism, xenophobia and discrimination, with a special focus on discrimination against Christians and members of other religions” of the Organization for Security and Co-operation in Europe (OSCE). From 2012 to 2015 he served as chairperson of the Observatory of Religious Liberty, instituted by the Italian Ministry of Foreign Affairs in order to monitor problems of religious liberty on a worldwide scale.


