日本政府は宗教法人の解散を請求することで、明らかに国際法に違反した。
パトリシア・デュバル著
5つの記事の1つ目
Read the original article in English.
このシリーズでは、日本政府が宗教法人世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会;以下、理解しやすいように「統一教会」または「教会」または「UC」)の解散を求めて提訴した訴訟が、日本の国際人権公約に適合しているかどうかを検証する。
私はこの事件を、個人の宗教や信念を表明する権利の制限とみなし、以下の点について述べたいと思う:
- 「法律で定める制限」という要件に適合していないこと
- この基本的権利を制限するための「公共の福祉」及び「社会規範」の概念が不明確かつ不適切であること
- 解散命令請求が根拠とする不法行為裁判では、強制的脱会説得を受けた元信者らが提訴した事件に対して、民事裁判所が、宗教法人による精神操作や不当な影響が存在するとの先入観に基づいて判決を下しており、不公正であること
2023年10月13日、日本で宗教法人を監督する文部科学省(文科省)は、統一教会に対する解散命令請求を申し立てた。
文科省の解散命令請求は、宗教法人法第81条1項に基づくものである。同条項は、宗教法人が法令に違反して著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為を行った場合、裁判所はその宗教法人の解散を命じることができる旨規定している。
文科省は以下の主張を行っている:「昭和55年頃から令和5年頃までの間、統一教会信者が、多数の者に対し、相手方の自由な意思決定に制限を加えて、相手方の正常な判断が妨げられた状態で献金又は物品の購入をさせて、多数の者に多額の損害を被らせ、(対象者である新規信者の)親族を含む多くの人々の平穏な生活を害する次のような違法行為をした。」
この主張に続けて、統一教会信者による献金勧誘行為について、信者が因縁について話して対象者に不安を抱かせ、過度の影響を与えて彼らの自由意思を侵害し、「社会規範」に違反する金額の献金を勧誘したと主張している。
文科省の主張の根拠は、統一教会が敗訴した32件の不法行為事件に基づいている。これら判決において裁判所は、統一教会の献金勧誘行為が社会通念に違反し、または、社会的相当性を逸脱するとして不法行為を認定し、献金した者に対する損害賠償責任を認めた。
文科省は特に、献金勧誘行為について審理し、「社会一般的にその行為者の自由な意思に基づくものとはいえない」と判示した2008年1月15日付東京地裁判決に言及している。
これらの判断に基づいて文科省は、統一教会信者が「親族を含む多くの人々の平穏な生活を害し」、著しく公共の福祉を害した(宗教法人法第81条)と結論付けている。
文科省が主張するこれらの根拠は、国際人権法や日本が締結した条約に反している。
市民的及び政治的権利に関する国際規約(以下、「自由権規約」または「国際自由権規約」と言う)の第18条3項は、宗教や信念の自由に対する制限可能事由を限定列挙している:「3項 宗教又は信念を表明する自由については、法律で定める制限であって公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の者の基本的な権利及び自由を保護するために必要なもののみを課することができる。」
第一に、宗教法人を解散することによって統一教会信者の宗教を表明する権利を制限することが法律(上記宗教法人法第81条)に基づいているとするならば、この法律は「法令に違反」という要件を規定しているが、「社会規範違反」は「法令の違反」には含まれない。
したがって、統一教会に対する宗教法人解散命令請求は、自由権規約第18条3項に規定する「法律で定める」との要件を充たしていない。
第二に、「公共の福祉」の保護は、厳格に解釈されるべき自由権規約第18条3項が規定する制限可能事由に含まれていない。公共の福祉は、個人の選択に基づく宗教や信念の自由に関しては、不適切な制限事由である。また、宗教活動は社会規範によって評価されるべきではない。
家族を含む他者の平穏な生活を妨害することは、宗教や信念を表明する権利に対する正当な制限事由ではない。
したがって、特に宗教法人に対する解散命令請求の理由とされることがあってはならない。解散命令請求は、法人にとって死刑に等しい極端な処分なのであるから、宗教団体においてはなおさらである。