裁判所は、統一教会とUPFを「反社会的」であるとした地方自治体による決議は違法ではないと言った。 同様の訴訟において、欧州人権裁判所は異なる判決を下した。
マッシモ・イントロヴィニエ
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2024年2月28日、大阪地方裁判所は、日本の統一教会(現在は世界平和統一家庭連合、家庭連合と呼ばれる)および天宙平和連合(UPF)を含むその関連団体に関する民事訴訟の判決を下した。
大阪市会、富田林市(大阪府の別の市)議会、大阪府議会はいずれも2022年9月から12月にかけて、安倍晋三元首相暗殺後に起きた反統一教会キャンペーンをきっかけとして、家庭連合およびUPFを含むその「関連団体」との関係を断つことを明記した決議を採択した。 彼らはこれらの組織を「反社会的」であるとした。
大阪UPFは決議の取り消しと損害賠償を求めて訴訟を起こした。 2月28日、大阪地方裁判所は大阪UPFの訴えを退ける判決を下した。 裁判所は、決議は政治的声明であり、直接的な法的効果や影響をもたらさないと主張した。 裁判所は、私人や民間団体とは異なり、国や地方自治体は「自律的な権能」を有しており、「真実」の基準以下の「相応の合理性」さえあれば、「裁量的な政策判断」を行うことができると論じた。 安倍暗殺後に統一教会が「社会問題」となっていたことは疑いの余地がないため、家庭連合とその「関連団体」が「反社会的」であることには「相応の合理性」があると裁判所は言ったのである。 おそらく政府が家庭連合に対して宗教法人としての解散命令を請求したという事実も、裁判所が「相応の合理性」があると判断した要因だろう。
しかしながら、その判断は間違っている。 この結論に達するのに日本の法律の専門家である必要はない。 日本は市民的および政治的権利に関する国際規約(自由権規約)に署名しており、その第17条には「何人も、…名誉及び信用を不法に攻撃されない(1項)。すべての者は、1項の干渉又は攻撃に対する法律の保護を受ける権利を有す」と規定されている。 世界中の裁判所は、一貫して第 17 条は宗教団体にも適用されると解釈してきたし、それを次の第18条と結び付けてきた。第18条は、市民が自由に宗教を選択する権利に干渉しようとする政府の試みから、宗教または信仰の自由を保護している。
国や地方自治体がある宗教団体について「反社会的」であると言えば、その名誉と名声に対する権利が危険にさらされ、差別を煽り、市民がどの宗教に入信するかを政府の圧力を受けずに決定する権利を妨げることになる。 公的に「反社会的」であると宣言された宗教に入信するという汚名を、あえて被りたいと思う者がどこにいるであろうか?
欧州人権裁判所(ECHR)は2022年12月13日、それに該当する自由権規約の条項と非常に類似した欧州人権条約の規定を解釈し、ブルガリアに不利な判決を下した。 この訴訟は、ブルガス市が市内のすべての公立学校に送った手紙に関するもので、その内容は、一般に「モルモン教」として知られる末日聖徒イエス・キリスト教会、エホバの証人、および地元のペンテコステ派の三つの教会が、 「カルト」(セクト)であり、「危険」であると説明していた。もちろんこれは、それらが「反社会的」であると言うことと同様である(「トンチェフ対ブルガリア」訴訟)。
興味深いことに、同じ欧州人権裁判所は21年前の2001年に、フランス政府が一部のグループを「カルト」(フランス語で「セクト」)と呼ぶ権利があるという判決を下していた。 この決定は部分的には技術的な問題に基づいていた(一部のフランス政府出版物については、原告、この場合はエホバの証人が、提訴するのが遅すぎた)が、2022年に欧州人権裁判所は、21年の間に状況が変わったと指摘し、公的機関が宗教的マイノリティに対して「危険」あるいは「カルト」というときには、常にそれに対する差別を生み出すのだということを繰り返し明示したのである。
欧州人権裁判所はまた、2021年に「ハレ・クリシュナ運動」として知られるクリシュナ意識国際協会に関する訴訟において、ロシア政府がこの団体を公文書で「破壊的」であり「カルト」であると言うことはできないとの判決を下したことにも言及した。
どちらの場合も、公的機関が発表した文書や文言には法的効力はなかったが、欧州人権裁判所が「トンチェフ」訴訟で述べたように、地方自治体や中央政府のこうした声明は「当該教会の信者が信教の自由を行使する上で悪影響を与える」と述べた。 彼らは差別される可能性が高く、宣教活動が困難になったり、不可能になったりする可能性がある。 ブルガス市の声明が「申立てをした牧師やその信者たちが、礼拝や実践において自らの宗教を表明する権利を直接制限するものではなかった」という事実は、重要であるとはみなされなかった。 公的機関の声明は直接的な法的影響を及ぼさないかもしれないが、深刻な差別を引き起こす可能性がある。
大阪でも同じ原則が適用されるべきであったが、UPFの場合はなおさらである。 UPF と家庭連合の創設者は同じであるが、UPFの活動に参加する人々や 10 万人の平和大使の圧倒的多数は家庭連合の会員ではない。